2024年05月24日 1822号

【みるよむ(696)/2024年5月4日配信/イラク平和テレビ局in Japan/NGO(非政府組織)に広がるイラクの腐敗】

 イラクでも、市民生活や住居、健康、人権を守るためのNGO(非政府組織)の活動が盛んで、近年その数は急増している。政府に登録しているだけで4000団体、実際には7000団体にもなる。

 その一方で、政府が提供する資金をめぐって、NGOの中では汚職と腐敗が広がっている。2024年2月、サナテレビはこの問題に焦点を当てた。

 NGOはさまざまな分野で人々とその生活に役立つ援助≠フ活動に従事しているはずだ。ところが、サナテレビは「このような活動をしているNGOはごく少数だ」と言う。「多くのNGOが、NGOの顔をしてピカピカの肩書きを持ってはいるが、政党の隠れ蓑になっている。その資金源はイラクの国家予算だ」と批判する。

 国会の移民・避難民委員会のメンバーによれば、難民のための活動を行ういくつかのNGOの場合、避難民のための予算割り当ての4分の3は、NGOの職員が会合やセミナーに出席するための旅行費用になっていた」という実態だ。

 これらのNGOは「仕事を続けて、特権から利益を得るために、避難民の状況をそのまま維持しようとする」。それは自分たちの儲け仕事が終わらないようにしているからだ。

一部には人身売買も

 さらに「女性に関するNGOは、腐敗の最大の焦点である」と指摘する。政府から支出される資金は「個人的な目的のために使われている」。そればかりではない。「一部のNGOが女性を売買。女性が売春ネットワークに売られたり、近隣諸国での性売買のためにギャングやマフィアに売られたりする」との実態を告発している。

 イラク社会の汚職と腐敗はNGOにも広がる。サナテレビはその実態を明らかにし、汚職と腐敗のない社会に変えようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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