2024年05月24日 1822号

【ZENKO韓国参加団/米軍基地に抗う平沢の平和村/被害の構図は沖縄 日本と同じ】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)韓国参加団の8人は、プサンで平和活動を行う対案文化連帯7人と共に韓国での連帯ツアーを行った。訪れたのは、アジア最大の米軍基地キャンプハンフリーズのある平沢(ピョンテク)、米空軍基地のさらなる拡張が狙われている群山(クンサン)、1980年5月に民主化を求める市民を武力で弾圧し多数の死傷者を出した光州(クァンジュ)。国家権力により人々の生活、命が蔑ろにされ続ける構図は植民地時代から今に至るも変わらないことに怒りを覚えた。しかしながら、人間の尊厳と平和な未来を守るため闘い続ける人々がいることに希望を持った。2回に分けて報告したい。(ZENKO共同代表・河辺友洋)

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 5月3日、韓国京畿道(キョンギド)南部・平沢にあるテチュリ平和村を訪れた。

 平沢基地は日本が植民地期に建設し、解放後米軍が接収。2001年に米韓で合意された在韓米軍基地統廃合により平沢基地への基地機能集中に伴う拡張計画が発表された。市民は激しい基地拡張阻止闘争を行うも、韓国政府は軍と警察を動員し行政代執行で住民を排除。最後まで権力に抗った44世帯がやむなく村ごと移住し「平和村」を築いた。

 私たちはシン・ジョンウォン村長の案内で村を散策した。農業を生業(なりわい)に生きてきた村人が米軍基地により生活の糧を奪われ、移転せざるをえなかった状況を怒りを込めて話す。村の歴史を伝える歴史館には、住民による抵抗運動の歴史が紹介される。たてこもる住民を軍隊を動員して強制排除。人として扱われないその状況に怒りを覚えた。

 夜、村内にある平沢平和センターでセンター長イム・ユンギョンさんより基地被害の現状について報告を受ける。飛行機の爆音、環境被害、自然災害、墜落事故などはもちろん、性暴力や事件も起きている実情は、沖縄と同じだ。基地と住民は共存できない。

 5月4日の午前は基地周辺を見学。肉眼では端まで見えないほど広大な基地だ。途中、滑走路に進入する偵察機が轟音を立てて頭上を何度も通りすぎた。「普段は戦闘機が飛び何十倍もの音が常にする」とイムさん。隣の雑草地は部品が落ち家が崩壊した場所。周辺の家々はヘリの振動で屋根が変形している。平和に住む権利が蔑ろにされている現実だ。イムさんは「在韓米軍のために韓国政府が支出する費用は、労働者を6万人も雇用できるほどの額だ」と言う。この構造はそのまま日本にも当てはまる。

 午後には全羅北道(チョルラブクド)北西部の群山へ。群山では今まさに基地拡張が狙われており、住民と平和活動家は暮らしと自然を守ろうと闘い続けている。  《続く》



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