2024年05月31日 1823号

【JR尼崎事故19年で集会/ノーモア 尼崎事故!/国鉄分割民営化と羽田空港事故を批判】

 「ノーモア尼崎事故! 生命と安全を守る集会」が4月27日、今年も兵庫県尼崎市で開催され、48人が集まった。

 安全問題研究会・地脇聖孝代表が「住民本位の公共交通のために〜国鉄分割民営化を問い直す」と題して記念講演。3月、JR東海が2027年の開業を断念したリニアの現状を、4月13日に訪問した長野県大鹿(おおしか)村(リニアが通過する村)の様子とともに報告。リニアのみならず、各地の整備新幹線でも相次いで工事が中断し、開業以前にルート選定の目途さえ立たない現状を指摘した(その後、5月9日には、北海道新幹線・新函館北斗〜札幌間延伸についても、予定した2030年開業ができないことを工事主体の鉄道・運輸機構が国に報告している)。

 ローカル線に関しては、地域公共交通活性化再生法の改定内容について、昨年に続き報告。貨物輸送などの全国的課題は「特定線区再構築協議会」では解決できないこと、維持コストのかかる鉄道を財政基盤の弱い基礎自治体(市町村)に押しつけるなら「廃止」しかないことを指摘した。

 1月2日に起きた羽田空港でのJAL機と海上保安庁機の衝突事故について、低高度で都心上空を飛ぶ新ルート強行(2020年)や航空管制官減員の影響だとして、新自由主義的交通政策を続ける国を批判した。

 国労大阪の藤原浩二さんは「事故前に戻りつつあるJR西日本の実態」と題して報告。事故後に入社した社員が7割を超えるJR西日本では「事故を知らない社員にどう加害者としての歴史を意識させるか」が課題だと述べた。また、JR各社で技術の継承が不十分なまま事故・トラブルが続く実態を明らかにした。

安全軽視は国の責任

 2018年からこの集会に参加している神瀬(こうのせ)麻里子さん(JAL争議団・JAL被解雇者労働組合〈JHU〉)は「旅客機のドア数以上の客室乗務員(CA)数を配置するよう国際機関が奨励しているが国は義務にせず、CAを国家資格が必要な安全保安要員にも位置付けず接客業と同じ扱いにしている」と批判。これらを国に求める署名への協力を呼びかけた。

 鉄道、航空いずれも安全軽視が国の責任であることが浮き彫りになった。

 2025年は尼崎事故から20年、JAL123便墜落事故から40年の節目となる。集会後の懇親会では「来年は会議室ではなく大ホールを参加者で満員にしよう」。節目の年に向けた決意を誓いあった。

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