2024年05月31日 1823号

【なかまユニオンが韓国希望連帯労組訪問/西大門刑務所歴史館で加害の歴史に触れる/闘争現場を探訪し連帯深める】

 なかまユニオンは、5月2〜5日を中心に、若手組合員の日韓労組交流と西大門(ソデムン)刑務所歴史館などの歴史に触れる目的で韓国を訪問。報告を寄せてもらった。

 昨年に続き、今年のゴールデンウィークも韓国を訪れました。目的は韓国労組の若手との交流でした。

 まず、3日目に訪れたソウルの西大門刑務所跡地について感想を書きます。今回の韓国訪問で一番印象に残ったのがそこだからです。

権力の恐ろしさ再認識

 「日本は戦争の悲惨さを描く時、アメリカとの悲惨な戦争や戦争被害者としての面ばかり強調し過ぎる」「アジア諸国を植民地支配した加害者としての歴史を知らない」と、以前聞きました。この訪問で《加害者としての日本軍》を知ることができ、自分の中で被害者と加害者の意識が合わさり、以前より問題を理解できた気がします。

 西大門刑務所は「韓国併合」後、大日本帝国が韓国を植民地にした日帝強占期≠ノ、多くの独立運動家を収監していました。日本軍が去った後も、自国の独裁政権との闘いで、多くの民主化運動家が収監され続けました。この刑務所で苦しめられた烈士は20万人に及んだそうです。

 犠牲者の顔写真とともに経歴が書かれたタイルを5500枚並べ展示した部屋も見ました。本当の犠牲者はその8倍の4万人以上で、現存するタイルは展示室以外にも1万ほどが保管されている、と通訳の方に教えてもらいました。

 歴史館の中は、当時の収容者の衣食住の生活や、拷問を受けた場面が生々しく描かれていました。逆さ吊りにされて鼻や口にヤカンで水を注がれ苦悶する人など、自白などを強要する取り調べがありました。日帝軍人が収容者を笑いながら足蹴にする場面が人形で再現してあり、ゾッとしました。一方的な権力を持つことは恐ろしいこと≠ニ再認識しました。

 いま日本国内では「戦争に賛成する」という若者が増加しています。そうした彼らは、加害者になる可能性を理解していない。戦争は被害者にも加害者にもなると知ってほしいです。

高空籠城の現場を訪れる

 次に印象に残っているのは、希望連帯労組との「闘争現場探訪ツアー」です。4つの現場を回りました。

 その中でも、半導体・IP企業C&M(Chips&Media)の「高空籠城(ろうじょう)50日間闘争」が印象に残りました。非正規職109人復職のため、2人の組合員がソウル新聞社の電光掲示板に上がり籠城した闘いです。

 2010年から正規職のための良心的な労働組合がありました。しかし横暴な会社に意見しても正規職だけでは動かせなかったので、非正規の人とも手を取り合い一緒に「団結するために」立ち上がります。109人の非正規職解雇の強行にあたり、3支部計800人による全面的なストライキを警告。約50日間の高空籠城や抗議活動により、2014年末、解雇者全員が復職しました。

 案内してくれた希望連帯労組メンバーは、非正規職の人々はまだ少し立場が弱いけれど、闘ったのは良い経験だったと語りました。

 その後、交流会を兼ねて夕食に招待され、さらに交流を深めました。豪華な鍋料理を用意してくださり、連帯の記念写真も撮り、私は以前イヤリングを送ったメンバーから、螺鈿(らでん)細工のバレッタ(髪留め)を貰いました。非常にうれしかったです。

 これからも日韓の労組が交流して、偏見や差別を無くし、労働運動も共に手を取り合うことが、重要な課題であると理解しました。

(なかまユニオン・高橋麻理)



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