2024年06月14日 1825号

【イスラエルのラファ攻撃を今すぐとめろ/日本政府は経済・学術ボイコットを】

 国際司法裁判所(ICJ)の攻撃停止命令(5/24)を無視し、ガザ地区ラファ攻撃を続けるイスラエル軍を止めなければならない。日本政府は、直ちに国際法無視のイスラエルとの経済的外交的関係を断ち、国際法を守らせるようネタニヤフ政権に圧力をかけるべきだ。

 日本とイスラエルとの主な経済協力や友好団体は以下のとおりである。▽日本イスラエル(以下、同)経済連携協定(EPA)に向けた共同研究▽(同)投資協定▽(同)科学技術協定▽(同)イノベーションネットワーク(JIIN)▽(同)友好議員連盟▽(同)親善協会(JIFA)▽(同)商工会議所(JICC)など。

 すべてが政府の統制下にあるわけではないが、日本政府がイスラエルを断罪する姿勢を示すことは重要だ。

EPA交渉中断せよ

 たとえばEPA。「貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策のルール作りなど、幅広い経済関係の強化を目的とする協定」(外務省解説)の締結に向けた動きは2022年に始まった。現在は「共同研究」。課題の洗い出しの段階だが、少なくとも日本政府は作業の中断を通告することはできる。

 2国間の投資協定は15年から交渉をはじめ、17年に発効(10年間は破棄できない規定がある)。この時期に重なるように両国企業の連携、協業が急増した。イスラエルの投資コンサルタントの調査書(22年1月)によれば、21年度に日本の対イスラエル投資額は29億4500万ドル(約3240億円、当時1ドル平均=約110円)に上り、20年の2・9倍になっている。

 イスラエルには92社の日本企業が進出(帝国データバンク調べ)。ビジネス情報を提供するNIKKEI COMPASSはイスラエル企業と提携する日本の企業29社をリストアップしている。







 提携先や業務内容などが明らかになっているわけではない。だがイスラエルの企業は軍事産業とは無関係に見えても、植民地支配に加担している可能性は否定できない。少なくとも政財界が参加するJIINの活動を休止すべきだ。イスラエル企業と提携する日本企業に対し、順法規定を課すなどの措置をとるべきだ。

共同研究するな

 2国間の科学技術協定では、これまでイスラエルの研究所と東大大学院が共同研究を行ったことなどいくつも事例がある(科学技術振興機構ウェブサイト)。たとえ学術研究といえども、イスラエルとの共同研究を行うべきではない。

 欧米では「イスラエル学術ボイコット」が進んでいる。全世界で数千人の学者が学術ボイコット支持の署名をしている。スペインの76大学学長会議は「イスラエルの大学、研究センターとの協力協定を停止する」と決定した(5/10)。BDS(ボイコット、投資撤退、制裁)運動でも、「イスラエル学術・文化ボイコットのためのパレスチナ・キャンペーン」(PACBI)は重要な役割を果たしてきた。

 なぜイスラエルの大学をボイコットするのか。BNC(パレスチナBDS全国委員会)のウェブサイトはこう答えている。「イスラエルの大学は占領体制、入植者植民地主義、アパルトヘイトにおける主要かつ積極的かつ執拗な共犯者である」。たとえば、テルアビブ大学は、数十の兵器システムと、イスラエル軍の戦術「ダヒヤ・ドクトリン」(社会インフラを破壊して敵に圧力をかける作戦)を開発した。イスラエル工科大学テクニオンはハイテク兵器の開発をしている。人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査で、大学を含むイスラエルの教育制度全体でパレスチナ人に対する制度化された人種差別が明らかになった。

 PACBIは学問の自由を守る立場を堅持しつつ、イスラエルボイコットを進めるためのガイドラインを示している(BDSJapanが日本訳をアップしている)。

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 上川陽子外相はイスラエルのカッツ外相に電話で「ラファでの本格的な軍事作戦に反対を伝えた」(5/27記者会見)程度でお茶を濁している。前日の26日、ラファの難民キャンプが空爆され45人が死亡、次の日28日にも21人が殺されている。戦車がラファ中心部に侵攻している。戦闘を止めるために、断固とした行動に出るべきだ。
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