2024年06月14日 1825号
【今すぐ戦争とめよう!対話で平和を!/ZENKOスピーキングツアー】
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5月25日〜6月2日、全国9都市(札幌、東京、京都、横浜、大津、広島、西宮、堺、大阪)で開催された2024ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)スピーキングツアー集会には、オンラインを含め830人以上が参加。ガザ虐殺をはじめ戦争とめよう、琉球弧―全国の戦争準備を阻止しようと発信した(関連記事4・5面)。
広島集会/犠牲の強要は許さない/政治を変え軍拡とめる
30日の広島集会では、宮古島でミサイル基地や弾薬庫建設に反対運動を続ける楚南(そなん)有香子さん(「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」共同代表)がスピーカーとして登場。
ドキュメンタリー映画『戦雲(いくさふむ)』でも痛切な言葉で基地を批判していた楚南さんは学童保育職員だが、子どもたちに「日本は今後絶対に戦争をしない」と言ってあげられないことに悩む。
目前に戦争が迫っているという危機感の理由は、基地が次々と建設されていることだけではない。防衛省職員から何度も耳を疑う発言を聞いたからだ。「(文民の保護に関する)ジュネーブ条約についての研修は受けていない」「基地が攻撃目標になるかはその時までわからない」など、軍事に携わる公務員としてあってはならない言葉に、楚南さんは「彼らの“守るべき国民”の枠の中に私たちは入っていない。沖縄では説明しない、答えない。それが防衛省のやり方なのか」と疑念を強める。
「自衛隊では弾薬庫で火災が起きたら2分以内に1`以上逃げるように、と教えている。実際には保良(ぼら)の弾薬庫から500b以内に集落が二つある。こんな犠牲を強いてはいけない、という声を広げてほしい」と楚南さん。農業も営む中、「戦争が起きたら、と思うと畑を広げていく未来を思い描けないが、諦めずに種をまく。それは自分の中にも希望の種を植えることでもある」と語る。
6月7日には沖縄県議選の告示が控える。「これからの選挙は全部勝ちにいかなければならない。軍拡路線を止めるためには政権交代しかない」と強調した。
参加者からは、呉市の日本製鉄跡地の防衛拠点計画への反対運動が報告された。楚南さんは、かつての大田昌秀知事の言葉「最大の公共の福祉は平和であること」を引用して締めくくった。
滋賀集会/「保革」超え訓練場断念させた/ミサイル配備から命を守る
29日の滋賀集会では「復帰52年、米軍基地・琉球弧のミサイル基地化の現状〜うるま市のミサイル配備・陸自訓練場反対運動を中心として〜」をテーマに、照屋寛之さん(ミサイル配備から命を守るうるま市民の会共同代表、沖縄国際大学名誉教授)が報告。照屋さんは、地元で「ミサイル要塞化危機写真展」や署名運動を展開してきた。
沖縄で「本島初」の地対艦ミサイルが配備されたうるま市の勝連分屯地は、勝連小学校から434b、与勝高校は160b。弾薬庫から住宅密集地域は493bしか離れていない。万が一、ミサイルが爆発したら住民は避難できるのか、ここに人は住んでいることを自衛隊、防衛省はわかっていない、と照屋さんは憤る。
続いて、うるま市石川地域の陸上自衛隊訓練場整備計画を断念に追い込んだ市民の闘いを紹介。1200人が参加した「住宅地への自衛隊訓練場計画の断念を求める市民集会」では開会冒頭、若者がブレイクダンスを披露し、高校生代表は「自由と権利を守りたい。命より大切な正義があるのか」と訴えたという。
照屋さんは、石川地域が計画反対で一致できた理由として、児童11人が犠牲、負傷した児童156名に及んだ1959年6月の宮森小学校米軍ジェット機墜落事故に触れた。住民説明会で、当時小学校1年だった参加者の「配備計画を聞き恐ろしい事故が脳裏に浮かんだ。再び同じような事故を繰り返さないため地域が一丸となって反対の声を上げていこう」との強い呼びかけがあったと指摘する。
また、計画を断念させ代表者らが喜ぶ写真を示し、「宿敵として選挙戦で対立して闘った二人が並んでバンザイ。保革を超えて≠象徴する姿」と強調した。
「市民パワーに防衛省屈す。市民の声は国政を動かせる」との照屋さんの強いメッセージを受け、最後に「まじゅん ちばいんど(一緒にかんばろう)」と、ともに声を上げる!
(ZENKO滋賀・岩崎晴彦)
兵庫集会/生活を脅かす軍事演習激化/抗議続け全国に連帯訴える
5月31日、兵庫集会では「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット代表」城村典文さんが、急速に軍事化する奄美大島の現状と闘いを次のように報告した。
昨年9〜10月、日米合同軍事演習が奄美で実施された。名瀬港に高機動ロケット砲「ハイマース」が輸送され、大型輸送船で陸上自衛隊の最新ミサイルが運び込まれた。奄美空港にはオスプレイが降り、同空港は全国でも3番目に米軍の使用率が高い空港になってしまった。各首長に共同訓練を受け入れてくれるな、と毎回要請を行っている。
11月13〜19日には、徳之島で全国の離島では初めて陸海空が結集して自衛隊統合訓練が行われた。子どもたちが水泳で遊ぶ浜辺に海自の水陸機動団が鉄条網を立て、離島奪還作戦。F15戦闘機の訓練も。運動公園にも軍事車輌が集結した。小中学校から500bも離れていない浜辺でオスプレイの発着訓練もあり、町民生活に影響を与えた。
今年3月7日、喜界島降下訓練でも抗議行動をした。C130輸送機が300名載せて6機飛来したが悪天候のため降下訓練はできず、市街戦訓練も中止となった。
先週、鹿児島県の総合防災訓練が10年ぶりに奄美で行われた。陸海空自衛隊が参加し、新聞の見出しは「陸自、防災訓練の中核に」。防災訓練に名を借りた行軍のようだった。保育園児に米海兵隊ヘリを公開し、ヘルメットをかぶせたり、記念撮影など、軍事色を馴染ませようとしていた。
普天間基地の移設先に徳之島という案が出た時は、1万5千人の集会で断念させた。しかし今は、首長が自衛隊を誘致している。抗議を続け、全国のみなさんに「抑止力」の訓練は平和にはつながらないことを伝え、連帯を訴えていきたい。
(ZENKO兵庫・加瀬秀雄)
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