2024年06月14日 1825号
【読書室/それはわたしが外国人だから? 日本の入管で起こっていること/安田菜津紀著 へウレーカ 1800円(税込1980円)/再度の法改悪が狙われる中で】
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本書は、日本の入管(出入国在留管理庁)で起きていることを、「子どもにも大人にも知ってほしい」と、4人の在日外国人の体験を通して、誰でも理解できるよう紹介している。
ガーナ出身の両親をもつリアナさんは、両親の在留資格期限が切れ父親が入管に収容。仮放免されるが、就労もできず、一家の行動が制限されるようになった。県境越えの移動にも入管の許可が必要で、バスケ部での活躍から強豪高校に誘われるが断念。入管法改悪法案に反対の声を上げると「ガーナに帰れ」とネットに差別書き込みをされ、心を痛めた。2021年の法案は廃案となり、一家にも在留特別許可がおりたが、仮放免期間は10年に及んだ。
廃案の契機となった、スリランカ人のウィシュマさんが入管施設で命を奪われた事件。その詳細とともに、ウィシュマさんの生い立ちや夢、それが踏みにじられていく姿は他人事と思えず、誰もが怒りを持つだろう。
トルコ出身のクルド人アハメットさん一家は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の難民認定を受けているにもかかわらず 政府は難民申請を却下、アハメットさんと長男をトルコに強制送還した。家族を難民として受け入れたのはニュージーランドだった。
石日分(ソクイルブン)さんは、植民地時代に日本人となることを強制され、戦後は一方的に「外国人」として社会保障などの権利を剥奪され差別受けてきた。この在日朝鮮人に対する管理政策が現在の入管制度の原型だという。
再び法改悪が狙われる今、一人ひとりの姿から、国籍の違いであれ何であれ「人間としてあつかわない」など決してあってはならないことを訴えている。(N) |
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