2024年06月21日 1826号
【議会を変える/滋賀県大津市議 中川てつや/指示権だけじゃない 見逃すと怖い地方自治法改悪】
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地方自治を踏みにじり、戦争準備とくらしの破壊を推進する指示権を創設する地方自治法改悪案の国会審議は終盤を迎えています。
今回の法案で問題なのは指示権だけではありません。
第33次地方制度調査会答申では「(窓口は)対面による紙の申請から非対面のオンラインによるものにシフト」「コミュニティ組織、NPO、企業 といった地域社会の多様な主体が、サービスの提供や課題解決の担い手となる環境整備」の2項目も改正事項とされました。
法案では、自治体情報システムの整備について「最適化」と称して、政府の方針に協力義務が課されます。政府は、窓口の無人化を目指していますが、対面窓口は市民の権利を守るもので必ず必要です。どうしたらよいか分からず来られる市民に対し、非対面でタブレットの選択画面のみの、紙に書かない窓口では、窓口難民が続出します。
さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)を口実に人員削減が行われるでしょう。全国町村会長が「『デジタル化=人員削減』とはならない」と釘をさしていますが、実現させてはなりません。
もう一つは、自治体サービスの担い手としての「指定地域共同活動団体」制度の創設です。これには企業も含まれ、都市部において自治体サービスが営利の対象になる可能性があります。総務省は「企業が構成員であれば問題なく、連携の相手方としては想定される」と容認しています。
残念ながら、自治体議員の多くはこの問題に対して敏感とは言えません。自治体当局、首長はなおさらで、「国において適切に行われるものと認識している」との手あかのついた慣用句で答弁するばかりで、何の危機感もありません。
大事なことはこの「指示権」を発動させず、対面窓口廃止やDXを理由とした人員削減、公共サービスの企業への丸投げなどを許さないことを一人会派でも指摘し続けることだと思っています。
今後、国政だけでなく地域や自治体の議会、職場が最前線になることを肝に銘じ、市政のチェックと市民との共同の取り組みを強めていきます。
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