2024年06月21日 1826号
【会場はメタンガスの巣だった/マジで爆発するぞ、大阪万博/府の子ども招待、絶対にダメ】
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「芸術は爆発だ」。1970年の大阪万博のテーマ館「太陽の塔」をデザインした岡本太郎はこう言った。来年開催予定の大阪・関西万博は会場が爆発するおそれがある。地中から噴出するメタンガスが原因だ。そんな場所に子どもを招待していいわけがない。
大阪府が進めている府内の小中高生を学校単位で万博に無料招待する事業をめぐり、府の教職員組合3団体は6月5日、「子どもの安全が確保されていない」として、中止を求める申し入れを行った。
同様の要請は「なかまユニオン・学校教職員支部」も4月10日に行っている。要望書は、万博会場の工事現場で可燃性のガスが爆発する事故が起きたことなど、安全対策の不備を指摘。学校に対する事実上の見学強制を撤回するよう、吉村洋文知事に申し入れた。
事故隠しに批判
問題の爆発事故は3月28日、夢洲1区と呼ばれるエリアで発生した。屋外イベント広場に建設中のトイレ1階で溶接作業をしていたところ、上下水管を敷設するために床と地面の間に設けられた空間にたまったメタンガスに溶接の火花が引火し爆発。コンクリートの床など約100平方メートルが損傷した。
万博協会は当初、事故の写真を1枚しか公開しなかった。こうした対応に不信感を抱いた現場作業員の一人が、自分で撮影した写真を地元テレビ局(MBS)に提供している。彼いわく「隠したらアカンことじゃないのと思って。事実の部分に関してはきっちりみんなに知ってほしいし、知るべきだと思う」。まったく、そのとおりである。
夢洲1区は大阪市独自の廃棄物最終処分場で、埋め立てた廃棄物(焼却残滓など)の分解にともないメタンガスが発生し続けている。大阪広域環境施設組合の調査によると、昨年夏期には1日約2トンも発生していたという。
メタンガスは他のエリアでも見つかっている。パビリオンが建てられる夢洲2区からIR(統合型リゾート)予定地あたりにかけて、地下鉄整備工事が現在行われているのだが、メタンガスの存在が判明。爆発防止対策として追加費用が上乗せされている。
地震・台風にもろい
ところが吉村知事は、生出演したテレビ番組(4/13日本テレビ系『ウェークアップ』)で、「パビリオンが立っているところではガスは出ない」と言い切った。これにはさすがに批判が殺到。万博協会は5月30日になって、パビリオンが集結するエリア内で行った再調査でメタンガスが検出されたことを認めた。
万博会場の危険性はメタンガス問題だけではない。会場の夢洲は大阪湾に浮かぶ人工島である。陸とつながるのは北側の橋と東側のトンネル、そして延伸工事中の地下鉄しかない。地震や台風など大きな自然災害が発生すれば孤立状態に陥るおそれがある。
地震の振動により地盤が液状化する問題もある。万博協会が主張するように夢洲内の被害が軽微だとしても、対策工事をしていない対岸一帯は被害大の可能性が高い。となれば橋やトンネルが使えず、すぐには島外には避難できない。
大阪港湾労働組合協議会の三宅肇事務局長は「なんでここに(万博を)誘致したのか」と憤る。もちろん、大阪府政・市政を牛耳る維新の会が夢洲に建設しようとしているカジノのためである。夢洲のインフラ整備に莫大な税金を投入することを正当化することが連中の狙いなのだ。
調査もインチキ
大阪府は6月3日、府内の学校への来場意向調査の結果を発表した。招待対象の学校のうち約73%が「希望する」と回答した(「未定・検討中」が約18%)とのことだが、学校現場からは調査に対する疑問や不満の声が上っている。
学校へのアンケート画面を見ると、選択肢は「希望する」と「未定・検討中」しかない。「希望しない」は存在しないのだ。しかも「未定・検討中」を選ぶと《個別事務局よりご連絡いたします》とあった。希望しなければ府当局に目を付けられてしまうのだ。
大阪の北東部に位置する交野市の山本景市長は「調査が踏み絵になっている。手法が強権的だ」と府の対応を批判する。ちなみに同市立の全小中学校は参加を希望しなかった。
ある学校長は「安全性が確保できないと学校行事はできない。休憩場所や暑さの対策を含め、あまりにも不確定要素が多すぎる」と本音を語る。現場の常識からすれば当然の反応であろう。それなのに約7割の学校が参加希望と答えている。維新支配の下で学校現場はすっかり委縮し、あきらめが蔓延しているということだろう。子どもへの影響という点ではこれが一番深刻な問題だといえる。(M)
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