2024年06月28日 1827号
【市民の意思無視、IR事業者優先は不当/府民の会が住民監査請求】
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6月11日、夢洲カジノを止める大阪府民の会の大阪市民8人が請求人となり、大阪市監査委員会事務局へ「住民監査請求書」を提出した。記者会見には多数のメディアが集い、テレビニュースでも伝えられ、関心の高さをうかがわせた。
大阪府・市が進める夢洲カジノを含む統合型リゾート(IR)予定地では、昨年12月から事業者が土地の液状化対策などの工事を開始。しかし、市有地にもかかわらず、工事期間中は事業者が無償で土地を使える契約を、大阪市は結んでいる。また、工事費用を市が負担するため、事業者との協定で「公共工事に準ずる」と位置付けながら、工事事業者は随意契約で自社の株主である企業に決定している。
監査請求の主な内容は―
1.液状化対策等工事にかかる「市有財産使用貸借契約」により、大阪市は事業者から賃料を受けとっていない。賃貸借契約で収入していたはずの約2億円/月(現在までの6か月分で約12億円)が得られておらず、市の財政に損失をもたらし、地方財政法に違反しているため、契約の解除を求める。
2.「大阪・夢洲地区特定複合観光施設用地に係る土地改良事業に関する協定」により、「公共工事に準ずる」という位置付けを行い、液状化対策事業費は大阪市が支払うこととしている。しかし、事業の主体である大阪IR株式会社は、随意契約で自社の株主である大林組と竹中工務店に事業を発注。市が経費を負担する事業なので、競争入札等を行っていない現状は、地方財政法・地方自治法に違反しているため、協定の解除を求める。
また、工事費用(788億円)は、大阪市が企業債という借金で賄うとするが、企業債はIR事業のような民間事業のために使われるものではない。よって、地方公営企業法・地方財政法に違反している。
大阪のあり方を変える
請求人を代表して山川よしやす会事務局長は「液状化対策等工事費をめぐって大阪市が金を出し、IR株式会社が自分の出資会社を使って工事する。いくらかかるかの明細も見ずに、議会はこれを成立させている。こんなことはあり得ない。東京五輪以上に、この万博・カジノは、議会がチェック機能を果たさず、住民の意向も反映されていない」と請求への思いを語る。 万博への子ども動員問題も強調し、「学校の先生、親御さんたちと一緒に子どもの安全や生命を守ろうという思いが、大阪のあり方を変えていく展望になると信じている」と熱く訴えた。
“維新”市政を問う闘いがここでも始まった。
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