2024年07月19日 1830号

【未来への責任(402) 遺骨土砂断念へハンスト(上)】

 6月23日沖縄慰霊の日に向けて22日から具志堅隆松さんと仲間たちが取り組む沖縄県庁前のハンストテントに私も合流した。「南部遺骨土砂採取、断念せよ!ハンスト決行中」の横断幕が目に飛び込む。具志堅さんと一緒に闘うのは、政府交渉でも遺族として追及する小橋川共行さんら全部で5人。短期間ながら私も6人目で加わった。

 小橋川さんは、お姉さんが沖縄戦で犠牲になった。6・18政府交渉でも、小さく風化した遺骨土砂の前に立ち切々と「この沖縄の南部土砂にお姉さんがいるかもしれない」と防衛省に語りかけた。

 午後4時になると県庁前テントから平和記念公園に軽トラックで荷物を積み込み、場所を移した。昨年は岸田総理訪沖の警備の影響でテントは許可されなかったが、今年はDNA鑑定申請の呼びかけテントとして認められた。様々な規制条件が付いた。「ハンスト、集会、募金、署名、使用目的以外の主張は禁止」。朝から式典が終わる時間までは認めず、県が監視に来るというのだ。

 ひどい話である。静謐(せいひつ)な環境で式典を行うためということだが、昨年は大量動員された警察が平和の礎に物々しく立ち入り静謐な環境を破壊しているのに。

 平和記念公園に到着すると、島ぐるみい会議いとまん、島ぐるみ八重瀬の会がたくさんで激励に来てくれた。テント前で激励の歌も飛び出す。私は東京での政府交渉を報告した。200名の会場をいっぱいにして、南部土砂問題で防衛省を追いつめ、平和の礎(いしじ)での過剰警備問題、自衛隊による牛島満32軍司令官を持ち上げる動きをやめるよう頑張ったことを報告した。東京と沖縄の連続した闘い、県民の思いで繋がっていると感じた。

 ハンストは、夜は早くから寝るしかないが、かたいベニヤで寝付かれない。テントの場所は平和への礎に向かう道にあり、多くの人が暗くなるとお参りに通る。なんで明日の慰霊祭ではなくて、今日夜に来るんですか? と尋ねると、半分以上の人が明日は交通規制があり駐車場も使えないので今日来たと言う。「岸田は悪の根源だ」と言う人までいた。

 朝4時、報道関係者らしい人が通る。「もしかしたら牛島司令官の黎明の塔に自衛隊が集団参拝に動くのかもしれない」。そう思った我々は、各自ライトをもって各県の慰霊の塔の立ち並ぶ先にある黎明の塔に急ぐ。私も初めて行く。多勢に無勢でも自衛隊が来たら撮影し、徹底抗議するしかない。塔の前にはマスコミも待ち構えていた。やはりマスコミも今年あるかもと危険を感じているのだろう。   《続く》

(戦没者遺骨を家族の元へ連絡会 上田慶司)

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