2024年07月19日 1830号

【議会を変える/大阪府茨木市会議 山本よし子/税金無駄づかいのダムパーク】

 茨木市の施政方針によると、今年の目玉は「ダムパークいばきた」だ。大阪府が茨木市北部の山間部に安威(あい)川ダムの計画を始めたのは約50年前。集落が立ち退きを迫られる、自然破壊でありメリットはあるのかなど反対の運動があったが、長い間の協議の末、昨年完成した。総事業費約2000億円。多くの住宅や農地が湖底に沈んだ。

 100年に一度あるかという水害に備えるのがダムの目的とされるが、ダムそのものの問題点はさておいても、そのためにこれだけの犠牲を払わなければならなかったのか。万博、カジノにつながる壮大な無駄ではないか。

 造ったダムでもうけようというのが「ダムパークいばきた」だ。ダムの周辺に公園を作り、「自然と人の新たな調和」をかかげ、レジャー施設を造るという。茨木市は周辺の土地を買い上げて公園として整備した。一部を大和リースの指定管理にして「民間のノウハウを生かした施設」「日本最長の歩行用つり橋を作り年間100万人に来てもらう」構想である。

 この大和リースは、全国の公営公園の管理運営に参入している会社である。大阪市では、扇町公園の開発を共同で行い、市民の反対を押し切ってシンボルツリーの伐採を強行した。金儲けのためには、市民が大切にしていた自然など切り捨てていくやり方だ。

 茨木のダムパークのために、市はこれまで20億円もの市費をつぎ込み、駐車場や道路の整備などをおこなっている。サッカーやラグビーができるアリーナを作ることも計画中。

 市民からは、アクセスが悪く車でなければ行けないようなところにお金を出さなければ遊べないような公園を作るより、安心してゲートボールや子どもたちがボール遊びできる身近な地域の公園の整備にこそ税金を使ってほしいという要望があがっている。

 ダムパークの西側の山を崩した広大な土地には、物流センターや工場が次々とできている。ダムのためにと整備した道路は、このような開発につながっている。茨木の北部は、豊かな自然が残っている。その保護や農業の振興にも、もっと力を入れるべきだろう。

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