2024年07月26日 1831号

【議会を変える、市民と変える/「会計年度任用」を問い直す/京都府向日市議 杉谷伸夫】

 「会計年度任用職員」をご存じでしょうか。地方自治体で、一会計年度単位で採用(任用)される非正規公務員のことです。「臨時職員」など様々な形で自治体で働いていた非正規公務員の大半が、4年前に会計年度任用職員という制度に統合されました。

 先日ある勉強会で、会計年度任用職員が3年や5年で大量雇い止めの危険があることを知りました(後述)。今年が会計年度任用職員制度が始まって5年目です。この機会に、と調べはじめました。

 40年ほど前までは、自治体職員は正規職員が当然だったようですが、自治体の仕事が増える一方で国からの予算措置が無い中、正規職員の削減と並行して非正規職員への置き換えが進みました。

 向日市の会計年度任用職員の実態を知るため、市当局に資料請求したところ、出てきた数字に改めて驚きました。市の正規職員404人に対し、会計年度任用職員は599人と正規職員の約1・5倍に及んでいました(うち週20時間未満の短時間勤務が389人)。そのうち、保育所と学童保育で239人と全体の約40%。学童保育の現場は全員が会計年度任用職員です。

 会計年度任用職員の8割以上が福祉・教育部門で、相談員や様々な専門職として、市民サービスの前面で市民に対応する現場でした。これらの仕事は単年度で終わるものでなく、会計年度任用職員制度は実態に合いません。単年度毎の任用という先の見えない働き方は、権利保障されておらず不安であり、職場で言うべきことも言いにくいでしょう。市民サービスの最先端に届けられる市民の声が、行政サービスの改善にしっかり反映できるでしょうか。

 さて、会計年度任用職員の雇い止めの件です。国が非常勤職員について「公募によらない再度の採用」の上限回数を2回とし、自治体がこれにならい3回目や5回目の再度任用にあたって「公募」でふるいにかける恐れがあります。私の議会質問に、向日市はこの上限回数を4回としており、来年度にむけ「公募」についてどのように行うか検討していると答弁しました。

 こうした中で先日、国はこの運用を廃止すると通知。この機会に、向日市でも「公募」に関する運用方針を見直すことを求めたいと思います。また根本的には、実態にも安定した働き方にも反する「会計年度任用」などではなく、正規職員増こそが必要です。
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