2024年08月09日 1833号

【2024ZENKOin大阪に内外から900人/パレスチナの解放を国際連帯で】

 今年のZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は7月27〜28日、大阪をメイン会場(サブ会場―東京)に開催され、オンラインや前日のワンデイアクションを含めのべ900人が参加した。メインテーマは「今すぐ戦争とめよう!万博・カジノ・原発STOP!つくろう平和を!国際連帯で 誰もが自分らしく生きられる社会を!」。7か国からの海外ゲストを交え、今後1年間の闘う方針が決議された(骨子別掲)。

軍事化する世界

 今年の特徴は、イスラエルによるジェノサイド、軍事占領が続くパレスチナ現地からオンラインで、パレスチナ解放のために闘っているメンバーの報告があったことだ。

 1日目のメイン集会ではPPSF(パレスチナ人民闘争戦線)書記長アーマド・マジュダラニさんがパレスチナ国家の承認を日本政府に迫るよう訴えた。2日目の分科会ではパレスチナ労働闘争ユニオン書記長のモハンマド・アロシュさんが世界的な労働戦線の構築を呼びかけた。

 パレスチナ問題はマスコミが言うような宗教の問題ではない。帝国主義的植民地支配システムとの闘いであることが強調された。

 ZENKOは街頭抗議行動やイスラエル協力企業への要請行動など各地で進めているパレスチナ連帯の闘いを報告した。日本政府への要請署名活動など地道な行動の積み重ねが、現地の闘いに応えることになる。

 こうした国際連帯の意義をDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)の全国委員でパレスチナ連帯闘争の中心的メンバーであるアーメド・フセインさんは端的に語った。「ガザの勝利を支援するために、沖縄で勝利する必要があり、沖縄の勝利を支援するためにニューヨークで勝利しなければならない」

 パレスチナだけでなく、ウクライナで続く戦闘など今や「世界中が軍事化している」と指摘したのはWCPI(イラク労働者共産党)書記長のサミール・アディルさん。今年は台湾、韓国、フィリピン、ビルマ(ミャンマー)も含む7か国からの報告があった。いずれもグローバル資本主義のもとで引き起こされた戦争や軍事化との闘いだ。

グローバル資本との闘い

 グローバル資本は人びとの生活全般にわたり破壊する。ZENKOの分科会は資本の攻撃に対する反撃の方針を討議した。不安定労働や地方自治破壊、原発、万博・カジノなどテーマ毎に持たれた分科会は14にのぼる。「長年政権にいる自民党政治の失敗がこんなにも多くの問題を生んでいる証拠だ」。沖縄県うるま市でミサイル配備と闘っている照屋寛之さんは多くの分科会で活発な討議が行われたことをうけ、「平和と民主主義をめざしともに闘おう」と呼びかけた。

 メインテーマの「誰もが自分らしく生きられる社会をつくる」ことは、資本の抑圧にさらされている若者にとって、切実な課題だ。自らこの課題に立ち向かう決意がメイン集会でも総括集会でも表明された。その訴えは参加者に大きな共感と希望を生んだ。

 ファストフード・チェーン店「なか卯」で長年アルバイトの身分を強いられ、パワハラをうける若者がストライキを敢行した。不当な扱いを許さないと闘いに立ち上がったのだ。

 また、小学校でのいじめがきっかけで不登校となった若者が、大学を卒業し生きる喜びを見出す過程を率直に語った。彼は「生きづらい社会を変えるために頑張りたい」と発言を結んだ。その若者が活動するZENKOの文化運動グループ「月桃の花歌舞団」の若手メンバーが、ZENKOの企画や準備を支え、集会成功を担った。

 グローバル資本による差別と分断に反撃するには仲間を拡げ、一人の勝利を10人、100人の勝利へとつなげることだ。

 ZENKO共同代表田中拓真さんは、一つの戦線の勝利があらゆる戦線の勝利につながることを確信し「ガザ・沖縄・ニューヨークでの勝利を、国際連帯の力で実現しよう」と訴えた。

ZENKO全体重点方針(骨子)

1.パレスチナ・ガザ即時停戦の実現。パレスチナ連帯行動を強化。パレスチナの国家承認を日本政府に要求しよう。市民の声でウクライナ戦争を終らせる。日本政府に対し緊急署名を。

2.岸田退陣を実現。9条改憲・緊急事態条項の創設阻止。岸田政権の退陣署名を。

3.沖縄連帯訪問を定期化。与那国島〜馬毛島での現地闘争に連帯。米議会に働きかけるZHAP2次署名を全世界で。

4.市民、労働者、子ども、被災者の命と生活を破壊する万博・カジノ中止。「被災地に回せ」署名を広げる。

5.「台湾有事」を起こさせず、東アジア平和へ国際連帯。
▽10月団結まつり、11月〜12月スピーキングツアー、25年2月ユース平和参加団に取り組む。


岸田政権退陣へ闘う/戦争と排外主義でなく平和と平等を/社民党党首福島みずほさん

 原発・雇用・万博、様々な場でZENKOと一緒に闘っている。グローバルに取り組み戦争をなくす。日中は絶対、戦争をしてはならない。社民党は北東アジア平和構想を発表している。与那国・石垣・沖縄島から馬毛島に至る軍事要塞化を止めたい。安保3文書、軍事産業強化法、地方自治法改悪、憲法改悪など戦争準備ではなく平和外交を。

 GX法・原発再稼働を現地・裁判・国会で止める。

 平和と平等は一つ。戦争と差別排外主義は手を携えてくる。戦争NO! 差別排外主義根絶! アジアと連携し政治を変えよう。


展望は民主主義的社会主義の実現/MDS(民主主義的社会主義運動)委員長 佐藤和義さん

 7月23日、パレスチナ情勢で大きな動きがあった。ファタハやハマスなど14団体が北京で会談し、分断を終結させ統一政府を発足させることで合意したのである。イスラエルに対抗して平和を勝ち取るという大きな決意であり、重大な前進だ。イスラエルのネタニヤフ首相は米国を訪問するなどあがいているが、追い詰められている。ガザでの虐殺をやめさせ、停戦を実現するチャンスだ。

 次に日本の情勢だが、先日の東京都知事選は岸田政権に最終的なダメージを与える機会だったが、私たちの統一候補だった蓮舫さんは3位に終わった。無党派や青年層の票がネットを駆使した石丸伸二・前安芸高田市長に流れた。

 欧州でも「改革右派」的な勢力が台頭している。しかしフランスの国民議会選挙では、左派連合の新人民戦線が極右・国民連合を最終的に食い止めた。その背景には年金改悪に反対する大闘争の蓄積があった。そこが日本との違いだ。立憲民主党は岸田政権の軍拡政策に迎合している。

 反民主主義の潮流と闘う市民の強力な連帯が必要だ。展望は民主主義的社会主義の実現にあると、我々MDSは考えている。

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