2024年10月04日 1840号
【訪問介護報酬引き下げを撤回させ 尊厳ある生活を保障させよう/署名すでに3万超 さらに賛同を】
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訪問介護事業所の倒産
訪問介護報酬引き下げにより訪問介護事業所の倒産が増えているという調査報告が次々と発表された。
東京商工リサーチは、2024年1月から8月までの介護事業所の倒産は過去最高の114件、うち訪問介護事業所は55件、約9割が資本金1000万円以下、従業員10人未満の小規模事業者と報告した。
日本医療労働組合連合会は、5月2日から9月5日まで介護事業所を調査した。回答した182事業所の分析結果では、報酬を算定するサービス提供の請求単位数(収入)が減った事業所は7割を超え、経営が悪化している事業所は7割にのぼる。「同じだけの時間数、訪問件数でも報酬が減ったので請求額も減った。人材不足により、訪問回数が減少したことに加え、基本報酬が減った」(9/13しんぶん赤旗)
訪問介護報酬引き下げが倒産を過去最高にしたことがわかる。このままでは、さらに多くの事業所が倒産や廃業に追い込まれる。
ヘルパー不足は深刻
厚生労働省は、都道府県と政令指定都市など129自治体を対象に訪問介護事業所の調査結果を公表した(9/12社会保障審議会介護給付費分科会資料)。6月の1か月間に廃止された訪問介護事業所数は133件と昨年より14件増えている。廃業理由は、人員不足・高齢化が昨年と同じ48件、利用者不足・経営不振が昨年の17件から26件と9件増だ。
同資料で、昨年度のホームヘルパーの有効求人倍率は14・14倍。ホームヘルパー不足は深刻だ。必要な訪問介護ができなくなる。人手を確保するには、大幅賃上げなど国の責任での処遇改善が緊急に必要だ。
事業者や利用者から「事業所存続のために、単価の低い生活支援の訪問介護は断って身体支援に回した」「母親が入居していた介護事業所の多くの職員が退職し、事業閉鎖を通告された。10月中に次の行先を確保しなければならない」などの声も届いている。
厚労省は、訪問介護事業所の廃業などの経営状況や職員の処遇改善などを調査分析して来年3月ごろに結果を公表し、その後、人材確保に向けて都道府県を支援する方針と言う。だが、多くの事業所がすでに倒産・廃業した後の来年3月以降の都道府県支援では決定的に遅い。国に、訪問介護報酬の引き下げ撤回、小規模訪問介護事業所への支援、ホームヘルパーのための国費での賃上げ保障をただちに行うよう要求しよう。
尊厳ある生活へ新署名
尊厳ある生活を連絡会は「訪問介護報酬の引き下げを撤回し、国の責任で介護職員確保を求めるとともに、更なる介護保険制度改悪に反対する」新たな署名を開始した(チェンジオルグのオンライン署名も可能)。6月に署名約3万5千筆を厚労省に提出したのに続き、すでに新署名にも3万筆超が寄せられている。さらなる賛同、拡散を呼びかける。
署名の要請項目は以下の通り。
1 経営危機の訪問介護事業所への支援策を早急に具体化すること
2 訪問介護報酬引き下げを撤回し、国の責任で介護職員確保を行うこと
3 介護職特にホームヘルパーの賃金を全職種平均並みに大幅に引き上げること。そのため、国費を投入すること
4 介護保険料の引き上げをしないために、市区町村の一般財源からの繰入を認めること
5 第10期の改定で、(1)要介護1・2の介護保険外し(2)ケアプランの有料化(3)利用料の2割負担対象者の拡大を行わないこと
6 マイナンバーカードへの一元化のために介護保険被保険者証を廃止しないこと
7 要支援者の尊厳ある暮らしを守るため、現在25%の国の負担割合を倍増すること
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大阪では10月27日(日)「訪問介護報酬引き下げを撤回させ、尊厳ある生活を保障させる集い」(13時30分〜 エルおおさか南館101号)を開催する。地域の介護事業所や利用者の状況交流、自治体要請、厚労省交渉へ向けた意見交流などを行う。ぜひご参加を。
(尊厳ある暮らしを連絡会・手塚隆寛)
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