2024年10月04日 1840号

【保険証廃止をゴリ押しする河野デジ相/現場の声を「百害」扱い】

 現行の健康保険証の新規発行終了が12月2日に迫る中、マイナ保険証をめぐる混乱が続いている。全国保険医団体連合会(保団連)が9月19日に公表した調査結果によると、2024年5月以降、全国の7割の医療機関で何らかのトラブルが発生したという。

 その内容は「カードリーダーの接続・認証エラー」が52%、「資格情報が無効」が48%など。保険資格を確認できず、いったん窓口で患者負担10割を請求した事例も9・4%の医療機関で発生した。

 トラブル・不具合への対応はどうしたのか。医療機関の78%が「その日に持ち合わせていた健康保険証でトラブルを回避した」と回答した。こんな状態で現行の保険証を廃止したら大混乱は確実で、必要な医療が必要な時に受けられないかもしれない。国民皆保険制度の危機といっても大げさではないのだ。

 ところが、現行保険証廃止の言い出しっぺである河野太郎デジタル相は12月廃止に固執している。9月20日の記者会見では保団連の質問を受けたのだが、その回答が酷かった。まず「利用者が増加してマイナ保険証トラブルが増加するのは当たり前だ」と強弁。「保険証残せというようなアンケートは百害あって一利なし」と言い放った。事実を明らかにされることが余程都合が悪いのだろう。

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 自民党の総裁選に立候補した林芳正官房長官は「不安の声にしっかり応え、必要な見直しを行いたい」と述べ、現行保険証廃止期限の見直し検討に言及した。林は岸田政権を束ねる側の人間だ。「総裁選のセールス・トークに使うのだったら今やれよ」と言いたい。

 現行健康保険証の廃止すなわちマイナ保険証の実質強制。これこそが「百害あって一利なし」なのだ。
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