2024年10月04日 1840号

【被ばくを問う井戸川裁判 一審結審へ】

 福島被ばく訴訟(井戸川裁判)の第30回口頭弁論が9月18日東京地裁で開かれ、原告の元双葉町長・井戸川克隆さんが証人に立った。一審の山場となったこの日、傍聴席には90人を超える双葉町民、支援者が集まった。

 裁判官は、原発事故前後から避難生活まで、首長としてとった行動を順を追って質問。井戸川さんはそのすべての過程で「国からの事故・被ばくなどの情報は一切なかった」と、被災現場が全く無視されていた実態を訴えた。

 国側の尋問は「3キロ圏の避難指示が出されたとき、避難に向けた行政としてやるべきことは足りていたか」の一点だけ。東京電力に至っては、井戸川さんの町長時代の元会社との関わりや家族構成、避難先での住宅まで、刑事事件のように執拗に質問。終了後傍聴席から被告席に「これは何の裁判なんだ。東電は加害者としての痛みはないのか」。怒りの声が上がった。

 井戸川さんは「東電は意識的に問題をそらすことに躍起だった。国は、あれだけ資料を出し意見してきたのに、何一つ反論できなかった」と淡々と述べた。

 次回口頭弁論は来年2月5日。この日で結審、判決日は7月30日と決まった。

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