2024年10月11日 1841号

【議会を変える/滋賀県大津市議/中川てつや/待機児童全国最多で、保育園を休園!? 追認議会を変える】

 大津市は、7月下旬に乳児保育専門の逢坂(おうさか)保育園を来年度から休園にすることを、決定事項として園長会や保護者に通知しました。

 大津市の今年の待機児童は184名(隠れ待機児童を含めれば516名)で全国最多。うち95%が3歳未満児です。3歳未満児の受け入れを増やすことが必要なのに、その3歳未満児専門の公立保育園を休園するというのは矛盾も甚だしく理解しがたい方針です。市は、逢坂保育園の入所児童は17名で8名の保育士がおり、保育士一人当たり児童の数が少なく「非効率な配置」のため他園への再配置で受け入れ児童を増やすと説明。

 経過をみると、決定はトップダウンで行われたと推測され、部長や担当課長など事務方もまともな説明もできないまま提案された極めて拙速でずさんな政策です。 

 第一に、当該の逢坂保育園の保育士をはじめとする職員や保護者に対しての打診や相談もなく、決定事項としていきなり通知。地元の自治連合会にも説明なしでした。この保育園には、服薬が必要な子どもも手厚い保育を受けており、その保育を信頼して預けている保護者の納得も地元の理解も得られていません。

 第二に、最も影響を受ける当事者である子どもへの視点が欠けています。子どもにとっての転園は大人の引っ越しと同じくらいのストレスがかかります。乳児保育の時期は特別な配慮のもと丁寧な保育が必要で、児童福祉法の「子どもの最善の利益を図る」ことすら考えられていません。

 第三に、保育士一人当たりの児童が少ないことを「非効率」として、事実上、「配置基準」に基づく配置を否定していることです。人間を「数」としてしか見ない人権感覚のない施策です。さらに、逢坂保育園がつくってきた他の保育園が目指すべき乳児保育の実践の継承が困難になります。

 私は、今議会の一般質問で休園問題をとりあげ、休園にせず、むしろ充実させることで待機児童解消に寄与すると追及しました。また本会議では、「再考を求める決議」を共産党と共同提案・説明し、他の一人会派も賛成討論をしましたが、少数否決でした。

 この問題では、保守系議員含めて多くの議員が「問題だ」と言っていました。しかし、議会では意見を言わず市長提案を追認しています。だれのための議員なのか!と本当にもどかしく思います。この状況を必ず変えたいと思います。
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