2024年10月18日 1842号

【1842号主張/軍拡・生活破壊を止める/総選挙で石破政権倒そう】

日米同盟対等化の危険

 石破新政権は何をしようとしているのか。

 石破首相の基本的立場は、総裁選投開票の9月27日に公表されたハドソン研究所(米軍とも関係の深い保守系シンクタンク)への寄稿文に示されている。アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設、日米同盟を米英同盟並みの対等な同盟にするというのがその主張である。対等な軍事同盟にするとの主張は、これまでの自民党総裁、首相は口にしなかったものだ。

 憲法で自衛隊を認める≠ナはなく、まさに自衛隊の国軍化であり、アジア版NATOの下どこでも軍事力を行使しようと言う。きわめて危険な思想である。岸田前首相による軍事費倍増にとどまらず、石破は軍拡のその先にある目標を明確に持っているのである。

自民批判をかわす狙い

 この方針を基本にしながら10月4日、石破は所信表明演説を行った。「安保政策」は次のように述べた。

 「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない。日米同盟は、日本外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基盤。まずはこの同盟の抑止力・対処力をいっそう強化する」。自らのアジア版NATO方針を直ちに出すのではなく、基本的に岸田内閣の路線を踏襲するとしている。

 「国民を守る」では「適切な価格転嫁と生産性向上支援により最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続ける」と最低賃金引き上げを含め賃金上昇をめざすとした。増税、社会保障の切り捨て、負担増にも基本的には触れない。

 それは、裏金問題による自民党への強い批判をかわし、積み重ねてきた安倍、岸田の軍拡、改憲路線をいっそう進めることが石破の課題だからだ。

分断許さず総選挙に全力

 発足直後の石破内閣の支持率は46%で、2001年小泉内閣以来11内閣では岸田内閣発足直後の45%に次いで低い(10/3朝日)。市民の自民党政権批判はかつてないほど根強い。

 石破は、この状況の中で、野党の分断が進んでいるいま、一気に選挙を行うことでダメージを少なくしようとしている。そのために、裏金議員の一部を公認しないとの方針を慌てて出した。石破は選挙にまず勝ち、その後、自らの路線を推進しようとしているのである。

 10月27日総選挙へ、野党分断を許さず市民と野党の統一候補を作り出そう。統一候補とならない場合でも、共産党を中心とする、軍拡と戦争法(安保法制)に反対し命とくらしを守る候補を支持し、選挙戦を闘いぬこう。軍拡、増税、社会保障切り捨てを阻止し、市民生活を守りぬこう。危険な石破政権を敗北させ直ちに退陣させよう。

 (10月7日)
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