2024年10月18日 1842号

【みるよむ(708)/2024年9月28日配信/放置される膨大な廃棄物 ゴミ捨て場で生きる人びと】

 イラクでは膨大なごみ廃棄物がまともに処理されていない。投棄される廃棄物の中から売れるものを探し出そうと、毎日多くの人が集まってくる。2024年7月、サナテレビはその実態を取材した。

 レポーターによれば「イラクは廃棄物などの汚染が世界で2番目にひどい」という。人口710万人のバグダッドの廃棄物処理は焼却のみで、廃棄物のほんの一部しか処理できない。しかも、住宅地の近くなどで廃棄物を焼却すれば、環境汚染や健康被害が広がる。

 バグダッドの処分場の多くは環境基準や衛生基準など全く満たさない広大なゴミ捨て場となっている。映像のように、毎日膨大な量の廃棄物が大型車で運び込まれ、そのまま地上に捨てられている。

 この膨大なゴミ廃棄場周辺に何百人もの人びとが住み着き、「ゴミの中に入り込み、プラスチック、アルミニウム、紙、段ボールなどを探し、家族を養うために売っている」「ゴミ収集場の隣の荒れ果てた部屋や家に住んでいて、ゴミ収集車が来る朝の4時にそこに行く」。しかし、それによって手にできる収入は、月300ドル(約4万3000円)以下だ。1日あたり1500円程度にすぎない。

ゴミの中で働く子ども

 この危険な労働から健康や身体の安全を守る何の対策も取られていない。そんな労働環境の中で、10歳にも満たないような子どもたちも働いている。サナテレビは「ゴミ捨て場に入る10歳の子どもたちを見るのは、巨万の富に浮かれるこの国では苦痛のイメージ」「廃棄物処理労働者は、イラクの富を蝕む汚職の犠牲者だ」と怒りを持って報道する。

 イラクでは、石油利権をむさぼるグローバル資本の一方、ゴミ廃棄場で危険な廃棄物回収を仕事とせざるを得ない多数の住民がいる。サナテレビはこの不公正をなくそうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS