2024年11月01日 1844号
【総選挙で問われるもの―金権腐敗の自公政治/新自由主義政策の転換へ再結集を】
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第50回衆院選挙。執筆時には結果は出ていない。だが、社会を変えるための闘いは不断に続く。来夏の参院選もにらみ、今回の選挙で問われたものを見ておきたい。それは自公政治の金権腐敗を正すことだ。「裏金議員」個人の出来の悪さにすりかえさせてはならない。問題は、自民党の「金づる」グローバル資本のための政治にあるからだ。
「失われた30年」。実質賃金は下がり続け、生活は悪化した。この間、政策を担ったのは自公政権だ。グローバル資本のために推し進めた新自由主義政策は、労働者の権利を切り縮め、大企業の利潤、内部留保を増大させた。「戦争の危機」を煽り、軍事費を倍増させた。元凶は明確だ。自公を政権の座から引きずり下ろし、政策転換をはかることが問われているのだ。
資本のための政治が元凶
マスコミの選挙序盤調査(10/15〜10/16)では、「裏金議員」の影響が出ている。289の小選挙区で自民が優勢と見られるのは「130程度」(毎日新聞)〜「3割(90弱)」(日経新聞)。幅はあるが、現有189議席を大きく割り込むのは必至だ。だが一方、比例代表(定数176)では現議席(72)維持(毎日)との予測もある。非公認の無所属候補者も当選すれば、「主権者の信任を得た」と自民党議席に戻ることも隠さない。
前回(2021年)の衆院選では、報道各社が出口調査をもとに「自民党単独過半数割れ」と報じたが、結果は15議席の減にとどまり、絶対安定多数(261議席)を確保している。甘利幹事長のあっせん利得疑惑、低支持率の首相交代による選挙は、今回の背景と通じるものがある。汚職批判の声がそのまま政権批判票につながるとは限らない。
安倍首相時代のモリ・カケ・サクラに見る政治の私物化など自民の金権腐敗ぶりはずっと続いている。「裏金」問題で問うべきは、自民党のスポンサーがグローバル資本であり、「企業が最も活動しやすい国づくり」=労働者・市民の生活悪化は自公政権である限り、続いていくということだ。
市民と野党共闘の道
与党候補に勝つための野党共闘はどのようにすすんできたか。過去の総選挙をもう一度確認しておこう。
前々回17年の総選挙では、与野党1対1の選挙区で野党候補が勝利した例がいくつも出た。この原動力となったのが、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(15年結成)だった。安倍政権が進める「戦争法」と「改憲」に危機感を持った市民運動が野党の統一候補実現に力を発揮した。
この動きに対抗したのが希望の党結成と民進党解体合流だった。マスコミは希望の党や日本維新の会を「第3極」と持ち上げ、安倍批判票は分断された。
前回21年の総選挙では、市民と立憲主義を掲げる野党共闘が大きく前進した。17年では小選挙区の2割にとどまった統一候補は7割以上の選挙区で実現した。だが議席は伸びなかった。野党共闘に脅威を感じた資本は立憲民主党と共産党の共闘を「野合」だとキャンペーンを張った。御用組合「連合」は立憲を揺さぶった。「維新」は「与党も野党もダメ」と与党批判票の受け皿になり、統一候補の勝利を阻んだ。
「政治が変わる」ことへの期待感は薄れ、投票率は戦後最低レベル(50%台前半)が大きく上向くことはなかった。09年に自民党を下野させ、政権交代を実現した時の投票率は69・28%。その差は一千数百万票にもなる。新自由主義政策を政権の看板にした小泉内閣。その総辞職(06年)後、自民は安倍・福田・麻生と政権をたらいまわしにした。生活・雇用・福祉の破壊に有権者は、「社会保障費削減撤回」など新自由主義政策の「修正」をはかった民主党に期待したのだった。
政策が変わる期待を
今回、市民粘り強い働きかけの中で市民と野党共闘が作られた選挙区もいくつもある。だが、前回に比べれば数は限られる。「戦争法阻止」を掲げた市民運動が政党を動かしたように、新自由主義政策の転換を明確にした共闘が改めて求められている。軍事削減、消費税廃止、など課題はいくつもある。
「改革」の名で政権批判票をかすめとった「維新」に対する不信感が広がった。兵庫県知事や大阪・関西万博問題だけではない。新自由主義政策の推進勢力であるからだ。
政策の選択肢が明確になってこそ政策転換への期待が生まれ、命と暮らしのための投票行動に向かわせることができる(10月20日)。
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