2024年11月01日 1844号
【未来への責任(408)/三菱前で韓国からの街角演奏会】
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10月11日、名古屋三菱女子勤労挺身隊訴訟を支援する会の第540回金曜行動が青空のもと開催された。今回は韓国から「ラルブル・アンサンブル(L'Arbre Ensemble)」の皆さんと日帝強制動員市民の会のイ・クゴン理事長ほかも参加された。街角演奏会が開かれるとあって、短い宣伝期間だったが、全国から支援者・市民も東京丸の内の三菱商事・三菱重工前に駆けつけた。
その矢先、10月5日、名古屋三菱女子勤労挺身隊訴訟原告であった金性珠(キムソンジュ)さんが亡くなったとの情報が流れてきた。金さんは、2018年11月29日、韓国の大法院で勝訴確定した。様々な事情で「第三者弁済」を受け入れたが、最後まで三菱重工の責任を問い続けた。図らずも、今回の金曜行動は金性珠さんの追悼の行動となった。
11時半に三菱グループ「金曜会」取りまとめの三菱商事本社前で抗議集会を開催した。広島、富山など全国から集まった戦後補償運動団体からも連帯のアピールがあった。丸の内には日鉄、三菱重工の本社が集まっており、さながら加害企業の総本山のようだ。私たちも日鉄本社前で宣伝行動に取り組んで合流した。
広島から参加された支援者は「三菱重工をはじめ三菱グループで働いている人たちに、1944年に三菱重工がどんなことをしたか、その歴史をきちんと見直してほしいと訴えたい。2021年に『人権方針』を三菱グループで出した。グローバルに展開する企業として国際水準の人権を守っていくという意思を表明したものと受け取っている。この中には1930年に成文化されたILO(国際労働機関)の強制労働禁止条約が含まれるはずだ。『人権方針』をグループの方針と定めるのなら、1944年に行った強制労働をまず振り返るべきだ」と訴えた。日鉄も今年「人権方針」を公表した。全く同感だ。
12時からは、三菱重工本社前に場所を移し、アンサンブルの皆さんが『アリラン』『シンドラーのリスト』『マイウェイ』などを演奏してくださった。街角演奏会だ。
今回、7人の演奏家の皆さんは自費での参加だった。皆さんが来日するきっかけとなったのは、去る2月の演劇『鳳仙花V』の韓国・光州(クヮンジュ)公演だった。名古屋で上演されてきた演劇『鳳仙花』を通じて、勤労挺身隊のハルモニたちの長い闘いの背景に、日本の市民団体の努力があることを知り、人権回復のために粘り強く活動している日本の市民団体の活動に感動を受けたとのことだ。
爽やかな演奏に、道行く会社員や観光客も足を止め、聞き入っていた。この訴えが、三菱重工をはじめ加害企業に勤める人びとに届くことを心から願った。
(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 山本直好)
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