2024年11月08日 1845号

【24衆議院選挙 自公惨敗/金権腐敗政治を断罪/市民の怒りを政策転換へ】

 第50回衆議院選挙(10/27投開票)は、自民党・公明党の政権与党が惨敗し、過半数を割る結果となった。2012年の総選挙で政権に復帰した自民・公明の金権腐敗政治が断罪されたのだ。投票率自体は50%台前半と低いものであったが、これまで与党を支持していた有権者が投票先を変えたのだ。さあ、これからだ。政策変更を求める市民の声で国会議論をリードしよう。

石破もごまかし

 自民党・公明党の与党は過半数233議席を得ることができなかった。64減の215議席。過半数割れでは政権を維持することはできない。有権者は石破政権にノーを突き付けたのだ。

 

 09年の政権交代のときは69・28%の高い投票率だった。多くの有権者が政策転換を求め投票に行った。しかし今回は、54%に届かない戦後ワースト3。前回(21年)を2ポイント程度下回った。与党惨敗は、これまで与党に投票していた層が投票先を変えたということになる。そうだとすると、なぜだったのか。

 自民党は、岸田政権が「裏金」や「統一教会」問題を小手先でごまかそうとしたことが支持率低下を招いたことから、石破政権で「挽回」をはかるつもりだった。ところが、石破政権もまた「裏金」問題が深刻な問題だとは受け止めなかった。「裏金議員」に対する「公認」「非公認」の方針がぶれまくり、あげくのはてには「非公認」とした候補者にも、公認候補者に渡した2000万円(公認料500万円+活動費1500万円)と同額を支給したことが暴露された。

 これほど有権者を愚弄(ぐろう)することはない。有権者は何に怒っているのか。「失われた30年」に象徴される失政に対する無責任さだ。アベノミクスは統計数値まで改ざんし、「好景気」と有権者に思わせた。そのごまかしの手法を次の政権も、その次の政権も引き継いできた。「誠実に、真実を語る」と言った石破政権はさらにごまかしを重ねた。自民党支持者であっても我慢の限度を超えたのだ。

被災地からも批判票

 石破に対する怒りが表れた象徴的な選挙区をみよう。

 石川3区。選挙区は七尾、輪島、珠洲(すず)市などだ。まさに震災・水害の復旧に全力を挙げているその中での選挙となった。結果は、総務政務官を務める自民の西田昭二候補が前回トップ当選から2万票減らし、立憲の近藤和也候補に敗れた。石破が前言を翻し早期解散に打って出たことに、被災地は「復旧・復興最優先」が口先だけだったと怒った。

 「裏金」候補への批判が表れた選挙区はいくつもある。例えば東京11区の下村博文候補の落選だ。「非公認」により無所属で出馬した10人のうち7人が落選している。東京7区では参院から衆院に鞍替えをはかった自民公認の「裏金」丸川珠代候補が落選した。

 自民が非公認とした候補者を推薦した公明党に対する批判票も大きい。埼玉14区の公明党代表・石井啓一候補は、選挙協力をあてにして同13区の「裏金議員」三ツ林裕己を推薦したものの、ともに落選。公明党は「裏金とは無関係」と釈明しているが、なによりも与党として失政に責任がある。

 小選挙区でこれまでトップ当選をしてきた自民党議員が競り負けている選挙区は多い。北は北海道3区、4区、5区から南は福岡2区、鹿児島1区など全国で見られる。自民を「指定席」から追い落としたのである。

 自公に対する批判は、政党に投票する比例区の状況にもよく表れている。自公が減らした議席は10。得票率は全国平均で約9%減になった。改選前最も得票率が高かった中国ブロックは57・34%が47・90%に減った。どのブロックも50%を超えるところはない。東京、近畿では30%程度にとどまっている。

 比例区で最も議席を減らしたのは日本維新の会。26が15に、11議席減らした。前回、自民批判票の受け皿となった維新だったが、万博や兵庫県知事問題など自民党同様の利権政党であることがバレたと言える。大阪の19選挙区ではトップを独占しているが、自公批判の厳しさに救われただけだ。比例区での得票率低下は自民に次ぎ平均約4%減であるが、近畿ブロックでは10ポイント以上減らしている。


国会をリードしよう

 特別国会が招集される。過半数に達しなかった自公は、このままでは首班指名を受けられない。政権維持のためには、今後、維新などと取り引きに応じることだろう。

 石破は選挙結果をうけた記者会見(10/28)で「国民からの叱責を受けた」と言いながら、政権継続に執着している。補正予算では野党提案も受け入れるとの姿勢を示した。「政策活動費の廃止、旧文通費の透明化」などに言及した。教育の無償化は程度の差こそあれ、野党がそろって掲げた政策だ。野党取り込みにどこまで妥協するか、探りを入れているのだ。

 野党間で違いがある原発政策はどうか。柏崎刈羽原発のある新潟4区は自民が敗れた。敦賀・大飯(おおい)・美浜・高浜の「原発銀座」である福井2区は「裏金非公認」の高木毅候補者が3位に沈んでいる。

 軍事費削減の課題も重要だ。軍事化が目の前で進む沖縄選挙区はオール沖縄候補の1区共産党赤嶺政賢、2区社民党新垣邦男の基地反対派が勝利。3区では自民候補にわずか1%(1700票あまり)足りなかったが、立憲の屋良朝博候補が比例復活。4区では基地反対派の得票数は自民候補を上回ったが、候補者調整ができず惜敗だった。

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 有権者は石破政権を認めなかった。この力関係を政策転換へと押し上げることが問われている。地域からの闘いを国会の場に反映させるよう、市民と野党の共闘は選挙が終わったこれからが本番だ。

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