2024年11月08日 1845号

【「月桃の花」歌舞団 川崎公演/私はここだ!Hope is in ourselves/すべてやり切ったユース団員】

 10月14日、川崎市で「月桃の花」歌舞団ミュージカル『私はここだ!Hope is in ourselves』が関東初演。関東歌舞団ユースリーダーの青島みのりさんに報告を寄せてもらった。

 10月14日本公演。団員一人ひとりが家族、友人、職場の人に声をかけ、129人の方に観ていただき、大成功しました。

 ユース団員、特に主人公さくら役の高校生Mさんは10人以上の友だちに声をかけ、街頭宣伝でも「主役やるので見に来てください」と積極的に呼びかけ。鶴見駅の宣伝では関東歌舞団おそらく初の街頭でのチケット販売に成功したユース団員、ウシ役のSさんの宣伝力には驚きました。

 当日は会場もいっぱい。開演直前、Mさんは舞台袖で「無理!」と緊張からか、うずくまるほどでしたが、いざ始まると主役のプレッシャーに負けず最後まで堂々と自分らしい舞台をやり切りました。ベテラン団員のアドリブにも自然とついていき、開演前の消極性はどこへやら。終演後のユース感想交流会では「私の友だち集合〜?」とこの日一番の声量で参加を呼びかけていたのが印象的でした。

 主役という大きな役割をネガティブに捉えることもありましたが、自信がない―そう思いながらも、制作や交流、練習を重ね、公演を成功させるんだという意気込みが日に日に強く感じられるようになってきました。以前のお手伝い≠ニいう意識から「私がつくる劇」「私たちがつくる劇」に方向がガラッと変わったと改めて感じます。彼女にとって歌舞団がただ劇をやる団体でなく、自分らしくいられる、そのままが認められる、言いたいことを言えるそんな居場所的な存在になったのだと思います。

 私自身も16歳頃に歌舞団へ入った時、何が何だか分からないままがむしゃらに劇に取り組んでいました。同世代の団員がおらず、一人ぼっちで活動しているような気持ちになることや、繋がりはつくれないのではないかと諦めてしまいそうな時もありました。

 それでも劇のように「私はここだ!」と闇雲に声を出し続けてきたことでMさんと出会い、そこからまた新しい出会いが広がって、本公演という舞台をつくりあげることができました。

 私が「私はここだ!」と叫んでいたところから、今度はMさんを中心とした新しい世代の団員たちが「私はここだ!」と叫んでいる、そんな風に私には見えました。繋がりをつくった先、繋がりを途切れさせないことも本当に大変でしたが、ここまでやってきて良かったと心から思えました。

 まだまだ劇の中身に課題は残るものの団員全員が「今までで一番よかった!」そう思える劇になりました。終わった直後から「終わって寂しい」「次はここでやりましょう!」と向上心あふれる発言も。またさらにみんなで広がりを大きくしていける自信に繋がる本公演となりました。

歌舞団かふぇも広がる

 10月26日にはお客さんと団員で劇を振り返る感想交流会「歌舞団かふぇ」を開きました。私の友人やMさんの友人、鶴見の街頭で出会ったご家族など劇を見に来てくれた6人の方がかふぇにも参加してくれました。

 前回、7月プレ公演後のかふぇでは、お客さんはゼロ、団員だけで振り返って―と寂しい会でしたが、劇の中身に自信を持ち歌舞団を広げたい!と思える公演をつくったことで、「かふぇにも来てね!」と団員の声かけが広がりました。

 感想交流では「嫌な客の役がリアルで面白かった」「もっと戦時中の沖縄住民がどう過ごしていたか知りたい」「主人公さくらの保育の実習の大変さが自分と重なった」など率直に語り合いました。シナリオを試しに読んだりテーマソングを歌い歌舞団を体感できる時間になったと思います。

 「主役をやってみたい」「ベースをやってみたい」などの発言もあり、歌舞団サポーターも1人増えました。終了後も交流は続き「またね! 練習の時に会おうね!」と新しい方たちとあいさつを交わしました。

 今後、巡回公演に向けて活動を広げ、よりパワーアップしていきたいです。

《あらすじ》 保育士をめざす専門学校生さくらと、兄。訪問看護師ゆり。それぞれに生きづらさを抱えた若者たちが沖縄戦ただ中のガマ(自然壕)にタイムスリップし、戦場での死を目前に「生きる大切さ」を見つけ、希望を手にする。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS