2024年11月08日 1845号

【たんぽぽのように/朝鮮半島での軍事的衝突は決して起こしてはならない/李真革】

 10月26日、米紙ニューヨークタイムズと日本の共同通信は、数千人の北朝鮮兵がロシア西部クルスク州に到着したと報じた。すでにウクライナに砲弾を間接的に提供・支援していた韓国が直接的軍事支援をする可能性も提起され、欧州で南北間の代理戦争が繰り広げられるという指摘もある。

 朝鮮半島での軍事的な緊張が日増しに高まっている。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は10月1日の「国軍の日」記念式で「北朝鮮が核兵器の使用を企図するならばその日が北朝鮮政権終末の日になるだろう」と脅した。これに対して金正恩(キムジョンウン)国務委員長はただちに翌日、尹大統領を名指しして「まともではない人」と非難し、「韓米が朝鮮民主主義人民共和国の主権を侵害しようと試みれば核兵器を含むすべての攻撃力を動員する」と対抗した。

 2023年12月、北朝鮮が「同一民族」や「統一」などを否定し、韓国を「第一の主敵」と規定する方針に転換して以降、南北間の対立が激化している。24年10月14日、朝鮮労働党中央委員会の金与正(キムヨジョン)宣伝扇動部副部長は、韓国からドローンが平壌(ピョンヤン)に飛来し反体制ビラなどが配布されたとの談話を発表。北朝鮮は、これを韓国による「軍事的攻撃行為」として軍に「完全射撃準備態勢」を指示し、翌15日には南北連結道路の一部を爆破するにいたった。

 他方、韓国は7月から軍事境界線で北朝鮮国内に向けて拡声器による宣伝放送を再開。8月には朝鮮半島での核兵器の使用を含む有事=$争に備えた大規模な韓米合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・シールド」を行っていた。

 本コラムで、朝鮮半島の軍事的緊張が高まり、南北間の軍事衝突にまでつながる事態を懸念してきた。その懸念がますます大きくなっているのが残念な現実だ。

 南北が「北朝鮮政権終末」「核兵器使用」などと口にし互いを刺激することは、戦争防止には何の役にも立たない。「非武装地帯(DMZ)」が「重武装地帯」に変わり、西海北方限界線(NLL)一帯で再び軍事的衝突が起こる可能性を排除できないためだ。

 南北関係の悪化と緊張の激化は、両政府の非和解的で敵対的な姿勢によってもたらされたものであり、その責任は双方にある。このような情勢が朝鮮半島での軍事的衝突にいたることは決して容認できない。

 南北両政府は、早急に対話しろ!    (筆者は市民活動家、京都在住)
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