2024年11月08日 1845号
【みるよむ(710) 2024年10月19日配信:イラク政府が新卒採用を半数削減/医療労働者は雇用を求め大規模デモ】
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イラク政府は、新卒の医療労働者の採用を半分以下に削減する方針を発表した。これに対し医療労働者が雇用確保を要求して大規模なデモを組織。8月、サナテレビがこの闘いを取材した。
イラクの法律は、医学部卒業生の全員を政府の病院や政府部門に雇用すると規定している。ところが、政府がこの法律を自ら破り、雇用を大幅に削減すると決定したのだ。
医療専門職の卒業生は5万8千人いるが、保健省は「医療従事者の人員は充足している」として2万8千人しか雇用しないとした。資格を持った新卒の医療従事者が、いきなり3万人も雇用されずに失業状態になってしまう。卒業生たちは怒り心頭だ。
そもそもイラクの病院には医療従事者が大幅に不足している。過去にもサナテレビが伝えているが、まともな医療を受けられない市民がたくさんいる。
何千人もの新卒の医療労働者が「医療・保健専門職の卒業生を任命することは国家的、法的義務である」とスローガンを掲げて、抗議デモに立ち上がった。
治安部隊の非人道的弾圧
しかし、イラク政府の治安部隊は催涙ガスを発射、多数のデモ参加者が呼吸困難に陥った。棒で殴打し、負傷させた。ゴム弾も使用した。多くの人が逮捕され、「非人道的な状況で拘留された」と言う。そうした蛮行の一部が報じられる。
レポーターは「このデモは、イラク政府が医療部門の構造的問題に取り組み若者に雇用機会を提供するための警鐘です」と述べる。当事者である医療労働者自身が政府に雇用を要求する闘いの高まりとその重要性が伝わってくる。
医療労働者の新規採用半減の背後には、政府による医療部門全体の支出削減がある。医療の切り捨てと失業拡大に反対するイラクの医療労働者に日本からも連帯していきたい。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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