2024年11月15日 1846号
【みるよむ(711)/2024年11月2日配信/押収された車から盗むのは誰だ?/横行する警察の腐敗と犯罪】
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イラクでは、交通違反などで警察が押収した車やオートバイから部品が盗まれたり、返却されない事件が起こっている。2024年8月、サナテレビはこうした実態を明らかにした。
現在のイラクでは、交通違反で警察に車を押収されると、その車のバッテリーやタイヤが盗まれたり古いタイヤに換えられてしまうことがよく起こるという。「お金やアクセサリーを車内に忘れたら、取り戻すことはできません」
8月1日、ある市民の車をバグダッドの警察署が押収し、5日には違反がないとして返還された。その車に搭載されていたカメラが映像を記録しており、警察官がどのような所業に及んでいたかが明るみに出た。
警察官は所有者に無断で深夜の町中を走り回り、市民をはねた。警察官の一人は、エンジンルームから工具を盗んでいた。人身事故を起こし、窃盗を平然と行っていたのだ。
オートバイではもっとひどい。バスラで多くの市民が交通キャンペーン中にオートバイを押収された。「必要書類をすべて提出し法的手続きを終えても返却されなかった」と訴える。
市民への引き渡しを妨害
市民がバイクの引き渡し請求をしても「透明性が欠如し法的手続きが複雑にすぎ」、結局バイクを取り戻せない人もいるという。
昔のテレビドラマに出てくるような腐敗した警察のありさまだが、これはドラマではなく、現在のイラク市民が直面している現実だ。
イラクでは、政治家も政府機関もグローバル資本の利権に奉仕するだけで、市民の生活を守ろうとはしない。権力の末端にいる政府職員や警察官もまた、汚職や不正行為で私腹を肥やしている。サナテレビはその一端を明らかにし、社会を民主的に変革してこのような不正をなくそうと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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