2024年11月22日 1847号

【みるよむ(712)2024年11月9日配信/欠陥だらけの食品衛生管理/脅かされる市民の健康】

 イラクでは食品の安全管理がおざなりにされている。そのために、病院でも、軍隊でも、レストランでも、食中毒などが次々と引き起こされている。2024年7月、サナテレビは食品の衛生管理の問題点とその原因について取材した。

 多くの病院で、食事の準備や提供に関する衛生基準が守られていない。患者の治療をするはずの病院が、逆に病気を悪化させたり、新たな病人をつくりかねない。命にかかわる事態も出てくるに違いない。

 軍隊には約19万人の兵員がいるが、ここでも食品の衛生管理は深刻な問題になっている。軍で提供される食料は保存状態の悪さが深刻で、西部アンバール州では軍隊内部の集団食中毒事件が起きた。

 市民が利用するレストランも同様の問題を抱えている。サナテレビの映像は、調理場の食材や料理に虫がついている場面を映し出す。このような衛生状態では、どれだけ健康被害が出ていることだろうか。実際、中部ディヤラ州のレストランでは、ファストフードを食べた人たちから70人もの食中毒患者が出ている。レストランでは衛生基準が守られていないし、従業員の多くは食品の安全に関する必要なトレーニングを受けていないと言う。

ここにも賄賂の横行

 イラクでは、食品についての衛生管理はお粗末そのものだ。その大きな原因の一つは、政府の衛生管理に関する施策は「賄賂(わいろ)が横行しているのでほとんど存在していない」ことである。政府が、食品の安全管理という市民の健康にとって基本的な課題でもずさんな施策しかとってないために、食中毒などの問題が続発しているのだ。

 サナテレビは、政府と社会全体を民主化し、市民の健康を守るための食品の安全管理を要求しようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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