2024年11月29日 1848号

【議会を変える/東京都日野市議あるが精一/データセンター建設は市民の生活環境に何を】

 昨年9月末、日野自動車(日野市)は日野工場の跡地の西側3分の1を三井不動産に売却すると発表。三井不動産はこの土地にデータセンターを建設するとし、今年の5月住民説明会で、高さ80b2棟、50b1棟の建物を含む土地利用構想を示しました。

 地元住民からは建物の圧迫感、景観、日影、騒音などの環境悪化への不安の声とともに、大量の電力消費による排熱やCO2放出など日野市の環境基本計画にも多大な影響を与えることなど批判が高まっています。10月2日の説明会でも、データセンターという建物の秘匿性などを理由に、住民の質問に真摯に答えない三井不動産や建物の建設を請け負う鹿島建設の姿勢が改めて浮き彫りになりました。

 日野市にはまちづくり条例があります。条例は「まちづくりは、市民、事業者及び市の相互の信頼のもとに、公正で透明な手続の中で情報を共有し、協働により行われなければならない」としています。三井不動産の姿勢は条例の精神に反するものです。

 条例は都市計画法の規定に基づき定める日野都市計画に関する基本的な方針を実現することを目的としており、今回のような開発事業に対して市が責任をもって地区計画の策定をすることも明記されています。けれども日野市は、三井不動産や土地を売却した日野自動車に気兼ねして、本来行うべき指導を放棄しているのではないでしょうか。

 また、日野市は2019年内閣府から東京都で唯一SDGs未来都市の選定を受けています。その提案タイトルは「市民・企業・行政の対話を通した生活・環境課題産業化で実現する生活価値 (QOL)共創都市日野」。昨年は気候市民会議が開催され、省電力やCO2排出削減をどう進めるかと市民生活からもこの取り組みを位置づけようとしている最中。日野市自身の責任が厳しく問われています。

 データセンター建設問題をめぐり市民の新たな団体が2月には立ち上げられようとしています。来年の市長選でもこの課題は争点の一つになります。市民の生活環境を守る市政の実現へ取り組みを進めていきたいと思います。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS