2024年11月29日 1848号
【みるよむ (713)/2024年11月16日配信/バクダッドの大気汚染/発生源は明らかだが】
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イラクのバグダッドでは大気汚染が深刻な問題になっている。10月、サナテレビはこの環境破壊の実態と原因について報告した。
バグダッドは大気汚染の被害に悩まされている。特にひどい硫黄の悪臭は、呼吸器系疾患の患者に危険をもたらすなどの問題を引き起こしている。映像が撮影された10月にも、バグダッドの病院で「硫黄臭の放出による重度の窒息症例」が報告されている。しかし政府は患者の人数すら公表しない隠ぺい体質だ。
硫黄生成物の発生源は複数ある。特に早朝に排出される悪臭は石油によるもので、バグダッド西部の石油精製所と火力発電所が最大の発生源だ。生産管理がなされておらず、「石油精製過程で不完全燃焼が起こり、腐った卵のような臭いのするガスが排出」されるためにこの環境破壊が広がっている。
レポーターは、別の理由も報告する。無許可の工場や工業プロセスによって起きている問題だ。「金属の採掘場で、環境仕様に適合しない方法で製錬していることから、硫黄の有害ガスが発生する」と言う。
イラク政府・環境省は、多くの無許可の工場が存在していることを知りながら放置している。当局自身がこのような工場の影響や引き起こす汚染の量を無視しているのだ。環境汚染も野放しで広がってしまう。
環境破壊防止を提案
番組は「産業排出物を削減し、天然資源の管理を改善する」ことで、地域レベルでも国際レベルでも環境破壊を防いでいこうと提案している。
硫黄臭の発生源が明らかであるにもかかわらず、イラク政府は企業の利益しか考えていないためにまともな規制策を取っていない。サナテレビは、このような大気汚染を社会問題化して行政に対策を要求しようと呼びかけている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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