2024年12月06日 1849号
【「私はここだ!」の言葉から感じた希望を、ぜひ京都の人たちにも届けたい/「月桃の花」歌舞団・京都公演 200人参加で成功】
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11月9日、「月桃の花」歌舞団は京都市内で、ミュージカル『私はここだ!Hope is in ourselves』の初地方公演を行った。自分自身の置かれた状況に思いを重ねて、公演を成功させた実行委員長と初出演の団員から報告が寄せられた。
希望を感じた思いを京都で繋がり、創る
私は、ミュージカル『私はここだ!Hope is in ourselves』の大阪公演を観て、生きづらさを抱えた若者である労働者や人間を切り捨てる現代の世の中が、使えない人間を捨て去る沖縄戦と重なって見えました。
私も過去に「協力して働いてほしい」と言われていた職場から、予告通知もなく突然の雇い止めで派遣切りに遭ったことがあります。
最近の職場でも、繁忙期には「体調を壊していても働け」と言われ、逆に仕事がない閑散期には、会社から「休んでください」と頼んできて、シフトを削られてしまう自分の境遇が、お話の中のキャストの一場面と重なって見えました。
主人公たちが「これは違う。間違っている!」「命を大切にしていきたい」と願い、最後に「私はここだ!」と叫ぶ姿に、私も希望を感じ共感しました。
「月桃の花」歌舞団のキャストの若者たち自身が、生きづらさを抱えながらも話し合い、脚本作りに携わり、エイサーを一生懸命に踊る姿には、見ている自分も元気が出たし、劇中の歌も心に響いて感動しました。
だから京都で公演できないかと思い、たくさんの皆さんのご協力のもと、11月9日に公演が実現したことを、心から嬉しく思います。
上演の前に、生きづらい世の中を変えるために闘っている原発賠償訴訟京都原告団の高木久美子さん、ヘイトクライムと闘うフリーライターの李信恵(リシネ)さんから話をしていただき、参加者は勇気をもらい、心で繋がることができたと思います。
公演では、ミュージカルの歌の時に舞台と観客席が一体になったように感じました。公演が終わってからも、さまざまな感想をいただきありがたく思いました。
私たちは、平和で生きていたいと思える世の中を創るために、命を脅かされることなく生きていたいと願う人たちに寄り添い、生きることが蔑(ないがし)ろにされる生活・暮らし・環境に対して声を上げ、知り、考え、行動していく。そのことを通して、ミュージカルの中で語られた沖縄の言葉「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)の心を伝えていくために、これからもともに繋がっていきましょう!
(京都公演実行委員長・小林由香)
新卒の職場での自分と重なる姿から歌舞団に
11月9日、私は「月桃の花」歌舞団のミュージカルに初出演。デビューさせていただきました。
私が歌舞団を初めて知ったのは、5月18日の大阪公演を見に行ったことでした。
クレーマーに怒鳴られた主人公(さくら)の心の声と、看護師(ゆり)の「前から辞める決意をしていた」という台詞(せりふ)が、新卒で入った職場で働いていた私と重なっているように感じたことから、歌舞団に入団させていただきました。
今回の公演で、私は救急隊員と骨の鉄血勤皇隊の役、従軍看護女学生(ウシ)を罵倒していた日本軍の兵隊の3役を演じました。
鉄血勤皇隊を演じた時は、まるで人間の心を失ったロボットになっているような感覚でした。日本軍の兵隊の時は、江戸時代の頃までは沖縄が日本ではなかったその名残から、口汚く罵(ののし)っているのだろうなと思って演じました。
また、冒頭で疲れているさくらのバックの踊りでは、さくらが疲れていることを意識して、半ばやけくそで躍りました。
今回の公演を見に来てくださった方々から、さまざまな感想をいただきましたが、中でも「初めてとは思えないくらい演技も踊りも上手だった」という評価を聴いて自信がつきました。
見に来てくれた母から「沖縄戦の人々のつらさと現在の若者の生きづらさがうまいことリンクしていて良かった」という感想を聴き、私たち歌舞団の伝えたいことが伝わっているなと実感いたしました。
2025年の3月29日には大阪市の大正区で公演を行います。今回の経験を活かして、がんばります。
(「月桃の花」歌舞団・佐々木大悟)
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