2024年12月13日 1850号

【1850号主張/軍事優先の石破政権 軍事費削り生活優先に転換を】

少数与党の臨時国会

 11月28日、衆院選後初の臨時国会が開会した。石破自公政権は市民の拒否で少数与党となり、野党の協力≠ネしに予算案も法案も強行できない。市民の命と暮らし優先の政治へ転換を迫るチャンスだ。

 石破政権は「年収103万円の壁」問題で国民民主党を取り込み、軍事・大企業優先の政治を継続しようとしている。国民民主党も、軍事費増額や原発新増設を主張、企業・団体献金禁止を求める野党協議を拒み、自公政権を補完している。

 課税最低限度額の引き上げは必要だ。だが、大企業・富裕層優遇措置や消費税など不公平税制是正と一体でなければ、家計は真に改善はされない。自公政権は、軍事費増の財源のための所得税等増税方針を決め、今は実施時期を先送りしているだけだ。また、28年度までに社会保障公費負担を1・1兆円削減するための国民健康保険料の値上げも狙われており、低所得層ほど負担が増える。わずかでも実収入を増やしたい市民の願いに逆行するものだ。

焦点は軍事費削減

 閣議決定(11/29)された補正予算案13兆9千億円には、補正として過去最大の軍事費8268億円が計上され、当初予算と合わせた軍事費の総額は約9兆円に及ぶ。また、半導体に投資するグローバル企業への補助金など1兆円を計上、2030年までに10兆円もの支援を行う。

 災害など想定外の事態に対応するための補正予算を軍事やグローバル企業のために使うのは、本来の趣旨から逸脱している。13・9兆円とは、生活支援に回せば、大学授業料、小中学校給食費などの無償化や公的保険医療の自己負担分ほぼ無償化が可能となる額だ。

 石破首相は、所信表明で在日米軍基地の日米共同使用、辺野古新基地建設を明言し、軍事最優先の姿勢を示した。軍事費増額ありきの補正予算作成の一方で、中小企業や福祉関連労働者の賃上げでは実効性のない支援にとどまる。

 臨時国会でいま強調すべき争点は、軍事費を削減し、市民生活を支える経済対策に転換させることだ。

戦争準備を止めよう

 石破政権による戦争準備を止めようと全国9都市で開催された2024スピーキングツアー(ZENKO主催)では、沖縄・琉球弧で加速する「リアルな戦争準備」や島々が戦場にされようとしている切迫した現状が報告された。台湾からは「安倍元首相の『台湾有事は日本有事』発言は、台湾海峡の戦争リスクを高めている」と警鐘が発せられ、日本の戦争準備が台湾海峡の緊張を高めていることが改めて明らかになった。

 全国・世界の反戦運動と連帯し、石破政権の戦争準備を止め、市民の命と暮らし最優先の政治への転換を実現しよう。

 (12月1日)
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