2024年12月13日 1850号
【みるよむ(715)/2024年11月30日配信/不正発給されるイラクの外交パスポート】
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2024年10月、サナテレビはイラクの外交パスポートの不正発給問題について報道した。
外交パスポートは外交官や政府の高官など、外交に必要な限られた人たちに支給されるものだ。当然「厳格な基準に従い、関係当局の監督の下で発給される」。該当しない人に発行されるなどどこの国であっても通常では考えられない。
ところが、サナテレビは「この特権が広く悪用され、法的要件を満たしていない人びとにも与えられている」ことを明らかにした。
10月、政府の委員会は、「外交パスポートの所持者リスト」を外務大臣が提出しなかったので司法機関での裁定を要求した。
ある元外交官は「4万5000通の外交パスポート」が違法に発給された事実を認め、「大使の子どもたちに外交パスポートを与えることは容認できない」と告発している。
外交パスポートは「数千ドル」で金持ちや政治家と関係の深い人びとなどに売られている。
さらに、「政党や宗派私兵と関係のあるイランやレバノンなどのイラク政府に影響力を持つ、イラク市民でない者にも与えられている」と言うのだ。
背景に腐敗政治
各国との外交までこのような形で汚職の場にされるようでは、イラク市民の生活や政治全体に悪影響が出るのは言うまでもない。
サナテレビが「外交パスポートの不正発給は…早急な対策と厳格な措置を必要とする」と指摘するのは当然だ。
イラク政府は一部の支配層の利益しか考えず、まさに腐敗している。外交パスポートの不正発給問題もそうした利権腐敗政治の中から起こっている。
サナテレビはこのような不正問題を克服するためにも、社会を変革して民主化を進めようと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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