2024年12月20日 1851号

【議会を変える/滋賀県大津市議 中川てつや/“命の水”水道民営化への一里塚 浄水場など水道施設運転管理を民間まかせに】

 大津市は、11月議会に真野浄水場の設備更新改良及び4浄水場と加圧ポンプ場、配水池など、1つの浄水場を除くすべての屋外水道施設の運転管理を、26年から10年間にわたってDBO方式(注1)で民間企業にまかせる約330億円の債務負担行為(注2)議案を提出しました。

 もともと、市は2年前にすべての水道施設を15年間に渡りPFI(注3)で民間企業に任せるため、業者選定を進めていましたが、不調に終わったためDBO方式に切り替えたものです。しかし、DBO方式は、行政が資金を調達する点がPFIと異なりますが、そのほかは同じ政府の推進する官民連携手法で個別の民間委託業務とは異なり、水道事業運営への民間の関与度が極めて高い手法です。

 市の水道のほぼすべての屋外施設の運転管理を民間会社が10年も行うと、公の関与度は下がって市の技術者は不要となり、運転管理のノウハウもなくなります。現在でも、大津市の各浄水場は民間に運転管理を委託しており、職員だけでは運転管理ができない状況にあるのが現状です。このままでは、民間会社による運転管理が適正かどうかを監視することもできなくなります。「市では管理ができない」との理由で、民営化するしかないという結論が導き出されることは容易に想定されます。

 これは、市が自ら技術者の採用を中止しておいて、管理する技術者がいなくなったとして、西日本一料金の安い大津市営ガスを19年4月に大阪ガスに売却・民営化し、その後料金が引き上げられたことと同じことが水道でも起こりえるということなのです。

 今回の債務負担行為議案は、その基本方向が民営化推進の国の流れに沿ったものであるため、採決では反対討論をしっかりと行います。同時に市民に広く知らせ、水道民営化につながらないよう監視などの取り組みを強めていきます。

(注1)DBO方式…民間企業に設計(Design),建設(Build),運営(Operate)すべて任せること/(注2)債務負担行為…複数年契約の内容や金額をあらかじめ決めること/(注3)PFI…「民間の資金と技術力で安く公共事業を行なう」とされ政府が推進。民営化の一手法。

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