2024年12月27日 1852号
【1852号主張/ネタニヤフ逮捕で虐殺止める/停戦・占領撤退阻む加担やめよ】
|
ICCが逮捕状
ICC(国際刑事裁判所)は11月21日、パレスチナ・ガザでの虐殺を続けるイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出した。容疑は戦争犯罪と人道に対する犯罪だ。子どもをはじめ市民を無差別に攻撃し死者は4万5千人を超えた。イスラエル軍の行動が非戦闘員殺害を禁じたジュネーブ条約に違反することは明らかだ。
ネタニヤフは国内でも窮地に立たされている。企業経営者から賄賂を受け取り、自分に有利な報道をするよう国内メディアを買収したことで刑事訴追された。現職首相が刑事裁判の被告となるのはイスラエル建国以来初の事態だ。
国際世論の力で、戦争犯罪人ネタニヤフの逮捕につなげなければならない。
虐殺加担と戦線拡大
ところが、イスラエルを支える日米欧各国政府は、逆にICCに不当な圧力をかけている。フランス外務省はイスラエルのICC非加盟を理由に「免責対象」と表明。ネタニヤフを逮捕しないとの姿勢だ。米国内にはICCへの制裁発動を求める動きさえある。
ICCの赤根智子所長は「国際社会で法の支配がないがしろにされ、力による支配が横行する」と危機感をあらわにする。日本政府も何一つ行動しないばかりか、軍事ドローンの導入、軍事協力覚書の維持でイスラエルを支え続けている。
イスラエルはますます戦線を拡大させている。シリアで父子2代にわたって半世紀近く独裁支配を続けたアサド政権が崩壊したが、イスラエルはこの混乱に乗じてゴラン高原に軍を侵攻させた。イスラエル・シリア国境のこの「戦略的拠点」は、第3次中東戦争(1967年)でイスラエルが占領後、第4次中東戦争(73年)でシリアが奪還。74年、国連が両国軍を撤収させ非武装地帯とした。アサド政権崩壊のどさくさに紛れ、非武装地帯を一方的に占領するイスラエルの行動は国際間合意は破るためにある≠ニ言わんばかりだ。
世論と運動で包囲を
ICCも国連も、犯罪国家を国際法に従わせるための実力組織を持たない。いまイスラエルによる虐殺と日米欧の加担を止めるのは、国際世論と運動の力だ。
日米欧各国とイスラエルのグローバル資本・軍需産業同士が結びつき、莫大な利益を得ていることが「加担」の背景だ。世界の民衆は、日米欧―イスラエルのグローバル資本の結びつきを断ち切るBDS(ボイコット・投資撤退・制裁)運動を粘り強く続ける。これらは軍需産業・グローバル資本主義を解体していく闘いと密接につながっている。
韓国では戒厳政治再来を企てた尹錫悦(ユンソンニョル)大統領を国会前百万人デモなど市民の運動が弾劾に追い込んだ。日本からも連帯し、民主主義を守る闘い、虐殺阻止の闘いを強めよう。
(12月16日) |
|