2024年12月27日 1852号
【たんぽぽのように(35)/李真革/2024年12月の大韓民国内乱事態/再び民主主義を考える】
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12月3日夜、韓国から伝えられた突然のニュースで眠れなかった。軍事独裁政権時代の遺産である非常戒厳が45年ぶりに再発令されると思った人はおそらくほとんどいなかっただろう。
非常戒厳を阻んだ市民ら
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が奇襲発表した非常戒厳は、153分で国会が戒厳解除要求案を可決してその効力を喪失、3時間後、尹大統領が戒厳宣布解除を宣言し、「親衛クーデター」「内乱事態」は6時間で一段落した。
その間、軍のヘリコプターが国会近くに着陸し武装した特殊部隊が国会議事堂の建物内に侵入する過程をリアルタイムで見ながら、過去の恐怖を再び思い出すしかなかった。軍部独裁を経験したことがない若い世代は、軍事クーデターを実際に体験した。
尹大統領は、国会の「政府官僚弾劾訴追、予算案削減、特検発議」などを理由に、国会を「自由民主主義体制を崩壊させるモンスター」、野党を「亡国の元凶、反国家勢力」と規定し、非常戒厳を宣布した。しかし、それを法律に記された非常戒厳の成立要件である「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」に該当すると思う人は決して多くなかっただろう。
戒厳が宣布されたとしても、憲法第77条に基づき、国会が在籍議員過半数の賛成で戒厳の解除を要求したときは大統領はこれを解除しなければならないため、内乱勢力は国会議員が国会に集まるのを防ごうとしたが失敗した。
深夜の非常戒厳に国会前に集まった多くの市民と、国会議事堂に侵入する兵士と対峙した国会議員補佐官たちの勇気ある行動で、議員190人が参加し、全員賛成で緊急戒厳解除要求決議が可決できたのだ。
民主主義は次世代に継承
再び非常戒厳が宣布されるかもしれないという不安が続いた12月7日、国会は本会議を開き、6野党が共に発議した尹大統領弾劾案を審議した。だが与党「国民の力」の議員らが退場したため、投票参加人員が議決定足数(在籍議員の3分の2)に満たず、弾劾案は開票もできないまま投票不成立で自動的に廃棄された。この与党の行動は、市民たちの怒りの火に油を注いだ。
そしてついに12月14日土曜日、「12・3内乱事態」の首魁(しゅかい)である大統領尹錫悦が弾劾訴追された。弾劾訴追案が賛成204票、反対85票、棄権3票、無効8票で可決されたのだ。大統領弾劾案の可決に必要な議決定足数である200票を4票超えた。野党議員192人全員に加え、「国民の力」からも12人が賛成票を投じた。職務停止された尹大統領は、憲法裁判所の弾劾審判に引き渡された。
その時、国会前には100万を超える市民が集まり、「反乱犯、尹錫悦を弾劾せよ! 違憲政党『国民の力』を解体せよ!」と叫んだ。MZ世代≠ニ呼ばれる10〜30代の若者たちの熱気は文字通り熱かった。ろうそくの代わりに好きなアイドルグループの応援棒(ペンライト)を持ちKポップ最新曲をみんなが一緒に歌った。街に出られなかった市民は、誰もが国会のある汝矣島(ヨイド)のカフェや食堂で温かい飲み物を飲めパンやクッパを食べられるよう「前払い」決済で応援した。勝ち取った民主主義はもう一度、次世代に継承された。
本当の闘いはこれから
「歴史は繰り返す。最初は悲劇として、次に喜劇として」
民主的な選挙を通じて国民によって選出された大統領が私益のために憲政秩序を破壊し民主主義を踏みにじったが、市民の抵抗と法制度を通じて弾劾された。
非常に残念ながら私たちは依然として司法システムを信じて頼るしかない状況だ。いつあのようなモンスターを私たちが作り出すかもしれない。しかし本当の闘いはこれからだ。私たちは自分自身と闘っている。これが民主主義の宿命であるかもしれない。(筆者は市民活動家、京都在住)
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