2025年01月03日 1853号
【ドクター/「5類に風邪」は何のため】
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インフルエンザや今年大流行のマイコプラズマ肺炎など47種の感染症がその性質により感染症法の「5類」に分類されています。新型コロナウィルス感染症を昨年5月より5類に入れ、対策は大幅に削減されました。政府は、今度はこの5類に今特別な対策の必要性もない、いわゆる「風邪」を入れるように決めました。
5類のうち、麻疹や百日咳など半分は全医療機関、インフルエンザなど半分が全国5千ほどの医療機関(定点把握)がそれらを診断すると、報告の義務を負います。風邪は後者に入りますが、なにしろ風邪ですから膨大な数になり、届けを出すのは大変な作業です。また、風邪は、ライノ、新型でないコロナなど、多数のウイルスなどが原因の急性呼吸器感染症の総称で、原因微生物が分かっている他の5類とは異質です。3万件ものパブリックコメントが提出されました。しかし、国会での議論もなく厚生労働省の「省令」であっさりと決められ、来年4月より実施されます。
では、目的は何でしょうか? 武見前厚労相は7月、その一つにワクチン開発を挙げています。風邪患者からの、ウイルスなどの検体やその他の情報入手に道を開き、製薬企業にとってはワクチン開発への利用を目指す狙いなのでしょう。
また、一昨年2月、政府はワクチンを開発・製造する製薬企業・研究機関に資金を拠出する国際機関CEPIに5年間で3億ドル(約345億円)を拠出する大規模な予算をつけています。
政府は、効かない抗コロナ薬ゾコーバの無茶な認可、危うい「レプリコンワクチン」の早期認可に見られるように、医学ー科学的証拠を無視した医薬品開発を強引に進めています。それをより簡単にするため、医薬品を認可する際に不可欠の、厳密に計画された臨床試験なしで、厳密さのレベルが格段に落ちる「観察研究」で良いとの、製薬企業に「世界初」の大サービスをしようとしています。本当に効く薬が作れないので、効かないものでも「効く」としやすい評価方法にしてしまうわけです。
風邪を5類に入れるのも、それらに関連し市民の犠牲で製薬大企業を儲けさせる政策の一つと考えられます。
今、重要なことは、東日本大震災の2倍以上の死亡(超過死亡)を出した新型コロナ流行への対策について、ワクチンを含めて科学的に検証することです。
(筆者は小児科医) |
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