2025年01月17日 1854号

【食品・生活用品配布に長蛇の列/目立つ“本当に困っている人”/都内各地で年末たすけあい】

 物価高が続く中、生活に困っている人びとへの食料無料配布や生活相談に応じる活動が昨年末、東京都内各地で行われた。

 12月28日は大田区西蒲田で「第13回おおたたすけあいひろば」、29日は北区赤羽公園で「年越したすけあいフェス」、30日は足立区花畑公園で「足立たすけあい村」が実施された。

 北・足立両区は実行委員会を立ち上げ、主催。北区は「やさしいまちをつくる会きたく」「のらねこハウスよろず相談室」などが共催・協賛団体に名を連ねる。足立区は「市民と政治をつなごう!市民連合あだち」が呼びかけ団体として運営に携わった。

来られない人のためにも

 会場で現場の声を聞いた。当日は多くのボランティアが運営に参加。「たくさん用意してありますよ。慌てないでください」と声を張り上げ、積極的に取り組んでいる。開始前から長蛇の列ができた。

 北区では、保存食や生活用品を入れた「基本セット」100個が20分ほどで配り終わった。衣類・食器などの日用品もたくさんの人が手にとり、真剣な眼差しで選んでいる。

 価格が高騰する野菜の配布には、「助かる」「うれしい」と口を揃えた。袋からこぼれたキャベツの切れ端を拾う男性は「少しでも無駄にできないよ。野菜は高いからね。今晩の鍋が楽しみだ」と笑みをこぼす。

 足立区の女性は、両手で抱えきれないほどの食料品、衣服などをベンチで整理していた。「そんなにたくさんどうやって持って帰るのですか」と尋ねると、「自転車です。どうしても会場に来られない、体が不自由な人たちに配ってあげるの」と語った。

相談の時間が足りない

 生活相談コーナーは時間が足りない様子だ。相談を受ける議員らは、相談事とともに社会への不満も丁寧に聞く。

 相談担当の北区議会議員は、高齢女性から「息子が仕事を辞めた。私の助産師の収入と年金だけでは生活が苦しい。生活保護を受給したいが、息子が車を手放さないので受給できない」との相談を受けた。

 じっくり話を聞くと、車を所有しての生活保護受給は難しい状況のようだ。一緒に話を聞いた首都圏なかまユニオンの相談員メンバーが息子の仕事を案内した。

 「墓じまいをしたいが、お金がない。どうすればいいのか」と足立区議会議員は相談を受けた。区議は寺に直接電話をかけ、状況を聞いたが、寺もその問題で困っているらしい。墓石の処分費も含めて決して安くはない。

 区議は「生活困窮者はこのようなケースも抱えている。行政から何か支援ができないか。年明けに掛け合ってみる」と述べた。

 障がいがある人の医療や生活支援については、1時間ほど対応。また、SNSで個人情報がさらされた成年後見人制度への苦情など様々な相談も真摯に受けとめている。

 昨年に続きボランティアとして参加した人は、「あくまでも肌感覚」と断ったうえで「昨年は『無料だからもらっておこう』と、困窮しているわけでもないような人が少なからずいた。しかし、今年は本当に困っている人が目立つ」と印象を語った。





MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS