2025年01月17日 1854号
【長時間働かせ放題 許すな/労基法逸脱の研究会報告書案/雇用共同アクションが抗議】
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厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」は12月24日、労働時間規制の適用除外拡大につながる危険な内容を含んだ報告書案をおおむね了承した。
同案は、これまで使っていたデロゲーション(法律・規則からの逸脱)という言葉を「個別の企業、事業場、労働者の実情に合わせて法定基準の調整・代替を…可能とする仕組み」と言い換え、この仕組みを有効に機能させるために「実効的な労使コミュニケーションを行い得る環境」の整備が必要、としている。
労働組合がない企業で労使コミュニケーションの主体となるのは、「過半数代表者」で、使用者と対等な立場に立つことは望めない。長時間労働の歯止めが取り払われ、企業による働かせ放題が容易になるのは目に見えている。
労働時間の上限規制の強化については「社会的合意を得るために影響を注視」とするだけ。時間外労働の割増賃金についても「人手不足で労働者は割増賃金に頼らなくとも収入を確保できる」など、割増賃金不要と言わんばかりの使用者側の発言が並ぶ。割増賃金算定における副業の時間外労働の通算をなくす方向を打ち出し、複数の仕事を掛け持ちせざるを得ない労働者の長時間労働抑止を骨抜きにしようとしている。
さまざまな労働組合が上部団体の違いを超え結集する「雇用共同アクション」は同日朝、厚労省前で宣伝行動を実施。「労基法を見直すのなら、長時間・過酷労働で命を落とした仲間たち、体を壊し心を病んだ仲間たちのことを考えなければいけない。それが先だ」(全労協)「多数を占める労組が経営側の立場で労働条件の改悪を進め、少数組合は決定したことだけを伝えられる。労使自治の強化は怖さを含んでいる」(郵政ユニオン)などの発言が続き、「労基法の無効化反対」「財界より労働者の声を聞け」「長時間労働をなくせ」「過労死をなくせ」とシュプレヒコールした。
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