2025年02月07日 1857号
【地域に根を張るフードパントリー/生きづらさを抱える人たちに】
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区からの助成も拡大させる/東京・足立区千住
東京・足立区千住フードパントリー(以下、千住)は、毎月第1、3土曜日15時から関屋町のパラマウント共同スペースで開かれる。
1月18日もいつものようにスタッフが12時頃から集まりだした。スーパーの買い物かごを50個ほど並べて、それぞれに米やネギ、レトルト食品などを均等に入れていく。「5年前から始めて、開設当初はかごからあふれるほどの食品があったが、3分の1に減った」とスタッフの藤平りつさんは嘆息をもらす。
物価高騰により消費が停滞し、企業の生産量も増やせない中、フードパントリーへの食料品寄付の減少が各地で顕著になった。
足立区議土屋のりこさんの区への働きかけによって、フードパントリーへの助成が「上限30万円、経費の4分の3補助」から「上限60万円、経費全額補助」に改善された。藤平さんは「買う物が増やせた」と表情を緩めた。
現在千住には110世帯以上の申し込みがあり、足立区だけでなく、近隣区、埼玉県まで紹介や口コミで広がっている。生きづらさを抱え支援を必要とする人が増えているのは明らかだ。
千住には独自の取り組みがある。ひとり親世帯や単身者への支援に限るフードパントリーが多い中、誰でも受け付けている。4人世帯には2セットを渡した。
もう一つは月2回開設。予約日に子どもの行事などで来られないひとり親世帯の人にとって、振替ができ、感謝の声が寄せられる。会場に来られない人への宅配も欠かせない。登録者は19世帯で2回の開設日に分けて配送。この日は車2台で分担して行った。
藤平さんは「NPO法人セカンドハーベストに食料を取りに行き、お宅に配送する人員の不足。ガソリン代−輸送の問題が寄付食品の不足とともに悩ましい問題」と述べる。他のスタッフも輸送問題とともに「食品不足は厳しい。日本には寄付の文化が弱いと思う。企業も余裕が無くなってきている」と現状を語った。
会場を訪れた土屋さんは「子ども食堂も含めたこのような支援は本来、民間ではなく公的に行うもの」と応じた。
藤平さんは、連絡も無しに予約日に来なかった人に電話をかけて確認をするケアを行う。「ここで会話をするのを楽しみに来ている人がいる。スタッフも元気をもらっている」と交流の温かさに笑みがこぼれる。

ドタキャンこそフードパントリーの意義/横浜市鶴見区佃野(つくの)
ある日、フードパントリーのアドレスあてにメールが届きました。「家にお金がありません。食料品支援を本日お願いできますか」。メールに気づいたのが夜中だったため、翌日、本人に電話をかけ、次週のフードパントリーに新規で来てもらう約束をしました。
当日、終了時間30分前になってもその方は現れません。電話をかけると「今日は行きません」との返事。
…来ないんかい!
こんな日ばかりではありませんが、むしろ、フードパントリーはこのような方々に常にオープンであることに、大きな意義があると考えます。
「フードパントリーつくの」は月1回の開催で2022年3月に始まり、この2月で丸3年。今では毎回40組前後が利用されます。最近は「役所に紹介された」と来られる方や、福祉施設のスタッフからの紹介があるなど、「あそこに行けばなんとかなる」ものとして認知されつつあるようです。
地域のセーフティネットとしての役割を今後も果たしていきます。(横浜市・チームやどりぎ 藤川祥子)

「話ができてよかった」を励みに/備蓄米を困窮者に/大阪市城東区
2020年9月にオープンした京橋フードパントリーは1月18日の開催で53回目。「平和と民主主義をともにつくる会・大阪」有志が始めたものだが、この回は、95世帯から大人158人、子ども39人、計197人の申し込みがあった。 14時から16時まで利用者が途切れない中、15人のボランティア・スタッフでやり切った。前後に打ち合わせを2回、食材仕分けに2日間、前日夜の会場準備と、手間暇をかけて臨んでいる。
物価高は困窮者の生活を直撃している。せめて白米は1世帯0・5kg以上をめざし、不足分と、野菜を少しでもと、カンパを支えに購入して渡す努力を続けてきた。当日に都合がつかない利用者へ、食材を取り置き手渡す体制にも気を配る。
「ホントに助かっている」「話ができてよかった」と帰られる方に、「また来月ね」と声をかける。
▽政府備蓄米を困窮者に渡せるようにしてほしい▽パントリー事業への補助金を設定してほしいーなど、要求を挙げることもがんばり、スタッフを増やす努力も続けていきたい。
(京橋パントリー・森厚子)
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