2025年02月14日 1858号

【2025関西非正規春闘スタート/飲食・介護・バスの労働現場で闘いが進む/なかまユニオン】

 なかまユニオンも加わる関西非正規春闘実行委員会は取り組みを本格化させ、1月28日には大阪市内で記者会見を行い広くアピールした。首都圏青年ユニオンなど全国で27の労働組合でつくる2025非正規春闘実行委員会と連帯。昨年に続き、関西の約10労組が約30社に対し、賃上げなどの要求を提出していく。

 非正規労働者の「10%以上の賃上げ」などを求める方針に基づき、春闘の交渉を始める。「開かれた春闘」をめざしており、1月28・29日には電話による相談ホットラインも開設した。

なか卯24春闘で成果

 外食チェーンストアなか卯(う)のマニュアルでは、制服に着替えるための時間は労働時間となる。しかし店舗では、出勤時は制服に着替えてからタイムカードを打刻、退勤時もタイムカードを打刻してから着替える運用となっていた。また、出勤時の15分未満は切り捨てられ、7時46分に打刻しても、14分間が切り捨てられ、8時からの賃金計算となっていた(労働基準法では1分単位が原則)。

 着替え時間と、出勤時に15分未満として切り捨てられていた時間分の賃金が不払いとなっていたのだ。

 2024年春闘以来、なかまユニオンは不払いになっていた着替え時間など過去3年分の是正をなか卯に要求。その結果、組合員のいる大阪の店舗では運用が是正されてきた。

 不払いだった過去分も、3年前にさかのぼって不払い金を支払うことが会社と組合で合意。1月中に支払われることになっている。

 なか卯には全国で1万2700人のアルバイトスタッフが働く。なかまユニオンは、この成果をアルバイトスタッフ全員に還元していきたいと考えている。

現場から要求する

 医療法人神明会は、4か所のクリニックと12か所の介護施設、保育所等を展開しており、700人の労働者が働いている。介護老人保健施設ラ・アケソニア(大阪府箕面(みのお)市など)では、半数近くの非正規労働者を含む約100人が働いている。

 2021年6月、介護の責任者を嫌悪した管理職が圧迫面接で退職に追い込んだ事件をきっかけになかまユニオン ラ・アケソニア分会が結成された。その後、労組つぶしを狙って分会代表・渋谷国彦さんに昨年4月、雇い止めが強行された。ユニオンと地域の労働者の支援を受け、渋谷さんは就労闘争を継続している。

 今春闘では、正規・非正規を問わず介護労働者の賃上げと現場の状況を改善するための春闘要求を掲げ、自分たちの職場から介護業界を変えていく決意だ。

 記者会見では、全日本建設運輸連帯労働組合関西ゼネラル支部(バイハート分会)色見勝徳委員長と、サポートユニオン with YOU の村上薫執行委員も発言。

 色見さんは、イオンモール等で、カート・買い物かごを整理する業務を行うイオンの下請会社で働いている。昨年、一定の賃上げがあったが、イオンのパート社員との格差は縮小していない。統一要求書と分会要求書を提出して、手当や福利厚生の改善を求めている。

 村上さんは、居酒屋ブラックバイト≠ナ働く当事者を代弁する形で、労働条件・社会状況への疑問や希望の言葉を伝える。居酒屋学生バイトの労働条件改善に向けた取り組みを語った。

 また、大阪市内を走る大阪メトロの乗合型オンデマンド・バスで働く労働者(大阪メトロ・オンデマンド分会)が、5%の賃上げや一時金での他の社員との格差是正を求める要求書を会社に提出し、団交を開始していることも紹介された。

闘えば変えていける

 井手窪啓一なかまユニオン執行委員長は「昨年のなか卯での一人ストライキの実践も、SNSを通じて日本全国の労働者に希望を与えた。今年の非正規春闘の取り組みで、さらに多くの労働者に展望を示していきたい」と決意を語った。

非正規春闘とは

 非正規雇用の労働者が集まって一緒に賃上げをめざす取り組み。パートやアルバイトなど別々の職場で働く非正規雇用で働く人たちを含め、個人で加入できるユニオンなどを通じ勤務先の企業に賃上げを求める春闘。24非正規春闘では、約4万人が117社と交渉、70社で賃上げを実現した。

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