2025年02月14日 1858号

【みるよむ(722)/2025年2月1日配信/デモ参加者を告訴・弾圧するイラク政府】

 イラクでは、2019年10月から政府の汚職と抑圧に抗議する「10月市民蜂起」が展開された。これに対し、イラク政府は、現在もこのデモ参加者を不当に告訴して攻撃している。2024年12月、サナテレビは市民の自由と権利を抑圧するこの訴訟について取材した。

 この国では、政府・権力者が市民を脅迫するために告発することがしばしばある。「10月市民蜂起」に参加した人たちがそのターゲットになっている。

 たとえば、平和的な抗議デモをしていたザイディさんには当局侮辱罪で3年投獄の判決が下された。このような事例は枚挙にいとまがない。サナテレビのレポーターは「10月のデモ参加から5年が経過しているにもかかわらず、数百人が悪意ある告発や訴訟で起訴されている」と報告している。

 政府の役人や元国会議員が、多数のデモ参加者に対して訴訟を起こしている。司法当局によると、提訴された人数は1200人以上だという。汚職を繰り返し市民の生活を破壊してきた者たちが、その悪行を批判する人たちへの報復のために訴訟を起こしているのだ。

 中部アンバール州や北部サラハディン州などでは、数百人の若者が逮捕されている。高齢者や12歳以下の子どもも拘束されている。これはもはや、社会的弱者に対するいじめ、虐待だ。

当局の責任は不問のまま

 一方で、10月市民蜂起に参加した市民を銃撃し殺害した政府治安当局の責任はいまだ不問にされている。

 市民はこうした不条理を許さない。司法当局に対して「私たちの兄弟であるデモ参加者の殺害に関与したすべての者の責任を問うことを要求する」と声を上げている。

 イラクでは、腐敗と抑圧に反対する市民を弾圧する政府に対し、労働者、市民の闘いが広がっている。この闘いに連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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