2025年02月28日 1860号

【6000品目値上げ 天井知らずの物価高/消費税・ガソリン税の減税を/財源はいくつもある】

 物価上昇が止まらない。1月から4月までに約6千品目の食品で値上げが予定され、さらに苦しい生活を強いられる。日本銀行「生活意識に関するアンケート調査(昨年12月)」によれば、「(物価高への実感が)かなり上がった」とする回答は69・2%となった。



 実質賃金は3年連続で下がり(2/5厚生労働省「毎月勤労統計」)、エンゲル係数(家計の消費支出に占める食費の割合)が急上昇している。家計に余裕が少なくなっているのだ。

 さらに、ガソリン補助金が1月16日に完全廃止され、1g10円の値上げとなった。燃料代の高騰で物流への影響も避けられず、物価がさらに上がることになる。

 もはや個別の防衛策では対処できない状態だ。労働者・市民全体の実収入を増やす緊急の政策が必要だ。

 ここでは、ただちに可能なガソリン税減税と消費税減税・廃止を取り上げる。

道理なき「暫定税率」

 昨年までの臨時措置、ガソリン補助金制度は石油元売り会社への補助金だ。その復活は、補助金制度の恣意性や市場メカニズムの混乱などの問題がある。ガソリン税そのものの見直しこそが必要となっている。

 ガソリンの販売価格はガソリン本体価格にガソリン税と石油石炭税、消費税を加えたもの。1gあたりのガソリン税は、本来の課税28・7円と上乗せ分25・1円、計53・8円だ(図1)。



 道路整備のための特定財源とされるガソリン税に、財源不足などを理由に税率の上乗せ「暫定税率」が1974年から加わった。この上乗せには廃止の声が高まっていたにもかかわらず、「当分の間税率」として今もそのまま続けられている。

 消費税が始まると、ガソリン税に消費税が課せられるようになった。税金に税金をかける二重課税が生じ、さらに消費者の負担を増やしてしまった。



 12月11日、与党と国民民主党の三党間で「『ガソリンの暫定税率』は、廃止する」と合意。与党税制改正大綱にも明記された以上、今すぐ実施すべきだ。

 また、国会ではガソリン税の「トリガー条項」の凍結解除をめぐって議論が進んでいる。トリガー条項とは、平均価格が3か月連続で1g160円を超えたときに「暫定税率分」25・1円を減税、3か月連続で130円を下回ればそれを復活させるものだ。ただ、東日本大震災の復興財源のためとしてこのトリガー条項は現在凍結されている。

 立憲民主党と国民民主党が凍結解除の法案をそれぞれ提出し、共産党からも解除の請願書が出された。明らかにトリガー条項凍結解除の条件にあてはまるのだから、すぐに凍結解除法案を成立させるべきだ。

 ガソリン税減税に加え、消費税廃止が物価対策の要(かなめ)になる。消費税とは、消費することに対する罰≠ナある。しかも、低所得者ほど負担割合が大きくなる逆進性を持つ。もとよりあってはならない税なのだ。

消費税廃止は可能だ

 消費税廃止を唱えれば、消費税収が約24兆円と国家予算の21・2%(2024年度)を占めるので予算を組めないと必ず反論が来る。だが、財源はいくつもある。

 まず、法人税を消費税導入(1989年)以前の水準に上げる。消費税を導入し税率を引き上げる一方で、法人税は当時の40%から現在の23・2%まで減税されてきた。2023年までの法人3税減収累計318兆円に対し、消費税収の累計は539兆円に上る(図2)。消費税増税は法人税減税のために行われてきた。



 次に、不公平税制を是正する。いくつかの試算によれば、研究開発減税等の租税特別措置や株式譲渡益など大企業・富裕層への優遇措置是正で30兆〜50兆円が捻出できるという。

 もちろん、25年度8・7兆円、5年間で43兆円の軍事費は即刻削減するべきだ。

 ガソリン税減税と消費税廃止で物価高に対抗しよう。
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