2025年04月04日 1865号

【子どもには休む権利 内田良子さん講演会に多くの参加者 初めて出会った人とつながりたい】

 3月2日、大阪市内でフリースペースひまわり主催の講演会「学校に行かない子どもの声を受けとめて わたしたちにできること」を開催しました。心理カウンセラー内田良子さんを講師に迎えるのは7回目ですが、今回も新たな気づきや出会いに満ちていました。

 直前に新聞のイベント欄に紹介されたこともあって、参加者は全部で55人と過去最多、うち半分は講演会で初めて出会う人でした。今悩んでいる当事者や親に内田さんの話を聞いてほしいとずっと思っていたので、嬉しかったです。

 内田さんは、学校が子どもにとって過酷な場所になっていることを語られました。―いじめの認知件数・暴力は過去最多。教員はオーバーワークで疲弊して教員不足の状態。特に小学校低学年の不登校が急増している。でも、文科省は3日休むと電話や家庭訪問など「不登校未然防止対策」で子どもを休ませない。限界まで登校して心身の不調が出ると、精神科の受診や服薬を勧められることもある。学校より子どもの命・人生が大事。すべての人間に休養する権利がある。

 小中高生の自殺も過去最多。休み明けに学校を休める子どもは命を断たない。不登校は命の非常口。学校を休むことで、子どもの人権を守る必要がある。

 ゲームは命を守る浮き輪のようなもの。家が安心できる居場所になると文化的な活動が始まり傷を回復していく―。

 大阪市では昨年4月に不登校特例校(中学校)が開校しました。質問が出て、参加者からも様々な視点で紹介されました。内田さんは「すべての学校に人と予算を配分してすべての子どもが行けるようにしないと。振り落とされる子どもがいるということが公教育であってはならない。不登校特例校は邪道」と語られました。

 終了後の相談交流会も、当事者、保護者、教員など様々な立場の方の参加で内容の濃い交流ができました。

 子どもの休む権利を尊重し、学校を無償で安心して行ける場所に変えることが、何より大切だと改めて感じた講演会でした。そのためにも、講演会で出会った人たちとこれからもつながっていきたいと思います。

(大阪市 フリースペースひまわり 小川裕子)

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