2025年04月04日 1865号

【みるよむ(727)2025年3月15日配信/アプリによる配送サービス ビリー社の運転手の抗議デモ】

 イラクのビリー社は、商品の配送やタクシー配車をアプリによって受け営業する会社である。売り上げは急速に増えている。しかし、会社で働く運転手の収入は減っている。運転手たちは抗議の声を上げた。2025年1月、サナテレビがこの闘いを取材した。

 ビリー社は、スマホのアプリを利用して、タクシーを呼んだり、商品や食品を届けるサービスを行っている。「便利だし、他の会社に比べて料金が安い」と、一気に人気が高まり、バグダッドや南部バスラをはじめ各地の大都市で営業している。「スマートフォンで簡単にアクセスできる、女性にとって安全性が高い」ということで、このような配送サービスへの市民からの需要は増え続けている。

 ところが、ビリー社は料金を下げるために、担当する運転手に求める手数料を上げ、その収入を減らすという手法をとった。経営は順調で販路を広げ利益を上げているが、ビリー社で働く運転手たちの賃金は引き下げられてしまった。

 これに対して、運転手たちは立ち上がった。賃上げと待遇改善を要求してデモを行ったのだ。「ビリー社、不正はもうたくさんだ。賃上げを要求する」とスローガンを掲げる労働者たちの要求は切実だ。ビリー社の労働者の要求は正当なものだ。同業の他社の賃金はビリー社より高い。

世界共通の闘い

 ビリー社のような事例は、欧米でも日本でも見られる。アプリを通じた配送サービスなどで働く労働者は、どの国でも低賃金と労働強化に苦しんでいる。米国ではアマゾンの労働者らが労働組合を結成し経営者と闘っている。ビリー社の闘いは、国際的に共通するものといえるだろう。

 サナテレビは、そのような労働者の闘いを伝え、労働条件改善を要求しようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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