2025年05月02日 1869号
【議会を変える/滋賀県大津市議 中川てつや/際限ない保険料の高騰まねく国保統一化〜請願審議で暴く】
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大津市議会2月議会に、市民から「国民健康保険料値上げ中止と国民健康保険の統一化中止を求める請願」が提出されました。残念ながら常任委員会でも本会議でも少数否決となりました。請願審議は通常、議員の質問などのやりとりはなく直ちに採決されます。しかし、今回の国民健康保険(国保)の都道府県統一化については、請願賛成の立場で私が請願者と市執行部に質問し、大津市議会での請願審議では異例の40分という時間を割いて、その問題点を明らかにすることができました。
国保は、他の保険に加入できない方の地域保険で、これまで保険者(保険の運営者)は市町村でした。しかし、2018年から保険者は都道府県と市町村になり、国保財政を都道府県が握り、実務(賦課や給付、保険証発行等)を市町村が行うことになりました。政府は、それをさらに進めて、保険料を都道府県ごとに完全統一させようと強力に推進しています。
政府の狙いは、都道府県に管理させて医療費を削減し、同時に国庫負担を削減することです。滋賀県は2年後、昨年度から実施された大阪、奈良に続いて全国で3番目に完全統一化しようとしています。
私は、統一化した場合、県全体の国保財政は黒字化が進むが、保険料は高騰し続ける危険性を指摘しました。さらに市執行部への質問で、とりすぎた保険料をこれまでのように翌年からの保険料を据え置くまたは値下げに使うことができないこと、また、市民の要望に応える独自の減免制度をつくれなくなることを明らかにしました。実際、大津市では2023年度の国保料は基金を活用して据え置かれましたが、統一化すれば、これができないことになります。
大津市の国保料は5月に正式決定されます。県が示した標準保険料によれば、所得250万円・年収換算で約370万円、40歳夫婦と子ども1人計3人のモデル世帯で保険料は44万6833円と今年度より約4%の値上げです。実に所得の約18%、収入の約12%(!)を占めます。国保の統一化は保険料のさらなる高騰化を招き、市民にとっても、現行の保険者である市町村にとっても、有益ではないことは明らかです。
今回の請願は否決こそされましたが、こうした審議を通じて、他の一人会派の賛同者も増やすことができました。今後も、議会の持つ権能を発揮させて追及します。 |
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