2025年05月02日 1869号
【みるよむ(731)/2025年4月12日配信/ナジャフで女性への人権侵害/服装から食材に至る統制】
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イラクでは、女性に対する日常生活への抑圧が強まっている。2025年2月、サナテレビはナジャフでの実態について報道した。
イラク南部のナジャフ州では、シーア派イスラム政治勢力と癒着を深める州知事の下で、治安当局が「公共の場での女性の行動について」命令を出した。警察長官は、市のゲートと市場に女性専用検問所を設置させた。女性は、イスラムの教えに従っているとされる服装でなければそこに立ち入ることが許されない。
映像は、道路の真ん中をこれ見よがしに巡視する屈強な警察官たちと、道路の端の方に身を寄せて通る女性たちの姿を映し出す。
命令では、女性は外出時に髪の毛をヒジャブ(スカーフ)の中に隠し、全身を頭部から覆うアバヤを着なければならない。そうしなければ、警察に逮捕される。中東諸国のカフェでは一般的なフッカー(水キセル)やシーシャ(水たばこ)も、女性に対しては提供禁止だ。店主が違反すれば警察が取り締まる。
そればかりではない。ナジャフ警察署長は、食材のタコやカタツムリ、地魚などは消費も販売も禁止した。中部カルバラ州でも同様の命令が出されている。
SNSで厳しい批判
サナテレビは、こうした事態に対し「宗教的監督機関に変貌した警察の監督権限の拡大であり、民衆の批判を巻き起こす」と指摘したSNSの意見を紹介。SNSは「警察が法律を制定し、押しつけ、同時に執行している!」「警察署長に、人びとの服装を強制する権限があるのだろうか?」と痛烈に批判している。
女性に対する抑圧の目的は、権力者の支配を批判させず従わせることだ。
サナテレビは、不当な実態と、警察・行政当局を批判する声を伝えることで、女性をはじめ、すべての市民、労働者、若者の人権を守る闘いを呼びかけている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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