2025年05月09日 1870号 
            【みるよむ(732)2025年4月19日配信/イラクの歴史文化遺産を守ろう/乱開発で進む破壊】
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             イラクでは近年、街の近代化が進んでいるが、貴重な歴史遺産や町の情景の破壊を伴っている。2025年2月、サナテレビはこの問題を取り上げた。 
             
             首都バグダッドなどでは、近代的なビルや高層アパートが次々に作られている。だが、重大な問題点がある。「歴史遺産や観光地・保養地を保護する明確な政策がない」とサナテレビのレポーターは指摘する。 
             
             その結果、「商業的利用」=金儲けを優先した開発が進められ、歴史遺産や伝統文化の遺物が何の保護や保存の努力もなく破壊されてしまうことがしばしば起きているのだ。 
             
             それは、「街の歴史の一部と社会的アイデンティティを失うこと」につながっていく。 
             
             番組は、一例としてイラク最古の馬術クラブのことを取り上げている。急速な開発をするために活動場所が破壊されようとしている。104年の歴史を持つ馬術クラブが存続の危機に追い込まれてしまった。 
             
 バグダッド中心部のアミリヤ地区では、数十人の乗馬クラブ会員が抗議のデモを行って、敷地の住宅への転換に反対した。 
            開発の背後に犯罪と汚職
             番組はさらに、無理な乱開発が行われる背景に、マネーロンダリングの隠れ蓑にするために住宅が作られていることを指摘する。 
             
             また、宅地などの開発を優先しすぎ、道路の整備が追いつかずに交通渋滞を招いたり、学校や病院など社会サービスの不足が起きたりという事態が生じている。 
             
             イラクの腐敗した政府は、グローバル資本と結託しながら、集合住宅の開発や商業地区の発展の名で、歴史と文化が詰まった街の情景を破壊している。 
             
             サナテレビは、優れた歴史遺産や文化遺産を残す取り組みを地域からの社会変革の一環として進めようと訴えている。 
             
            (イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋) 
             
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