2025年05月09日 1870号

【万博会場の隣でカジノ工事/「カジノありきの万博」の証拠】

 日本初となるカジノを含む統合型リゾート(IR)の施設本体の建設工事が始まった。建設現場は大阪・関西万博会場に隣接しており、万博協会や博覧会国際事務局は騒音や景観悪化の懸念から、万博期間中の工事中断を大阪府と市に求めていた。だが、2030年秋の開業に間に合わせるため工事を続けることになった。維新府市政の最優先事項がカジノ=IRであることがよくわかる。

 そのIRに「市有地激安貸し出し疑惑」が浮上した。米国MGMリゾーツ・インターナショナル日本法人とオリックスでつくる事業会社「大阪IR」に対し、IR用の土地が格安の評価で貸し出されているのではないかとの疑惑だ。

 大阪市が提示したIR用地の評価額は1平方メートルあたり12万円。ところが隣り合う変電所の土地の評価額が1平方メートルあたり33万円であることが朝日新聞の報道で発覚した。IR業者への優遇措置として賃料を安くしたい大阪市が、土地評価額を下げるよう鑑定業者を誘導した疑惑が指摘されている。

 そもそもインフラ整備に巨額の金がかかる人工島・夢洲を万博会場に選んだのは、カジノの候補地だったからだ。カジノの営業に必要なインフラの整備に巨額の税金を投入するために万博という「国策」を利用したのである。

 夢洲に万博を引っ張ってきた張本人である松井一郎(前大阪市長)は、万博について「僕はもう成功したと思っている」と公言した(4/5朝日)。これは強がりというより正直な反応とみるべきだろう。

 「カジノありき」という観点に立てば、税補填が必要な赤字を出そうが、メタンガスなどで来場者の安全が脅かされようが、維新にとって万博は成功したことになるのである。 (M)
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