2025年05月16日 1871号

【「月桃の花」歌舞団/私はここだ! Hope is in ourselves/ステージで訴え飛び出し 希望をつないだユース/横浜・鶴見公演】

大きなつながりが見えた/多くの若者が参加

 4月20日『私はここだ!』鶴見公演(横浜市・鶴見公会堂)を行いました。観客は関東歌舞団では初めて200名を超えました。

 今回の公演の特徴は、1つ目は、フリースペースたんぽぽ、平和と民主主義をともにつくる会・かながわ、歌舞団で実行委員会を11回行い、公演を作ってきたことです。新しい取り組みがいくつかできました。公演後のロビーでの感想シール投票、QRコードでのアンケートやチケット申し込みも実施しました。実行委員一人ひとりが、この公演は「生きづらさでつながることができる公演だ」という確信をもって、観客300名という目標を掲げ、どう広げるかの討議を重ね、鶴見駅前で週1回のストリート宣伝も行いました。

 2つ目の特徴は、若者の参加が多かったことです。歌舞団では、沖縄出身の若者との学習会を公演前に企画しました。歌舞団員が沖縄戦や今の沖縄の現状を学べたことと同時に、学習会の講師の方の知り合いや「インスタグラムを見て」など、何人かの若者が公演に参加してくれました。

 「自己責任論」がはびこり雇用も生活も不安定な社会で、不安やあきらめを抱え生きづらさを語れない人がたくさんいる。この公演を通して、できるだけ早く、歌舞団活動を伝えつながっていきたい。そのために、どんどん外に向かって発信していきたいと思いました。

(関東歌舞団 神子幸恵)

生きづらさでつながる/歌舞団だからできた

 鶴見公演に向け、歌舞団ユースの取り組みとしてユースミーティングを2回行いました。公演で何をゴールとするか、ユースとしてのチケット販売目標や、誰にいつ頃までに声をかけるかなどを討議してきました。「自分の役をやり切る」「家族や友だちに見てもらい歌舞団に興味を持ってほしい」「孤立気味の友人とつながれるような公演にしたい」などそれぞれの目標を共有してきました。

 もう1つ、とても大きいのは歌舞団恒例のユース交流会です。劇の後にユースメンバーが10代〜30代の若いお客さんと感想交流を行います。今回は、歌舞団10名、観客14名計24名という多くの参加がありました。

 昨年10月の川崎公演から、ユースそれぞれが交流会を広げようという目標意識を強め、行動することで今回、多くの参加につながりました。不安や自信のなさはいつだって付きまといます。それでも、舞台経験を重ね前よりもステージに自信を持つことができたからこそ、行動できたと感じています。

 交流会では、劇の感想と生きづらさについて交流を深めました。劇冒頭で主人公さくらが貧困な家計の中で学費・生活に苦しむ様子(専門学校の課題や実習地獄=A週5深夜バイトに追われる)に、「自分の家も貧乏で学費が大変だった」「冒頭のさくらの場面で共感し涙が出た」と共感の声が多くあがりました。また、沖縄戦と現代を重ねた劇の内容に「沖縄戦での命の切り捨てとコロナ禍での命の切り捨てが通じるところが衝撃だった。今の時代でも変わっていない」「社会によって生きづらさがつくられている。声をあげていきたい」「自分だけでなく多くの人に観てもらいたい」とさまざまな感想を聞くことができました。

 今回は20代の学生が多く、主人公たちの生きづらさとまさにリンクする年代でした。ステージから想いを伝え、その後にはステージを飛び出し、交流する。生きづらさでつながり合う歌舞団だからこそできること。改めて歌舞団活動の真髄を体感することができました。

 絶望的にも感じるこの現代社会。それでも、一人ひとりの声を希望へと変えていく力があることをこの場で確認できたと思います。

 次回の公演に向けて、またパワーアップして頑張っていきます。(関東歌舞団ユース 青島みのり)

◆次回公演は11月22日(土)東京都北区・滝野川会館で開催予定







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